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海外旅行中に急病、ケガ…医療費の一部が戻る公的制度

日経ウーマンオンライン
こんにちは。社会保険労務士の佐佐木由美子です。これから夏休みを取って海外旅行へ、という方も多いのではないでしょうか。今回は、「もし海外旅行中にケガなどで治療を受けたら」をテーマにお伝えします。

海外で病気やケガをしたら、医療費は全額自己負担?

これからの時季、夏休みを取ってご旅行へ出かける方は多いと思います。夏といえば、きらめく海。マリンスポーツを楽しむために、海外のきれいなビーチへ…というのも素敵ですね。

ところで、言葉の通じにくい外国の旅行先で、もし思わぬケガをしたり、急病になったりしたら困ってしまうのではないでしょうか。

国内なら、健康保険被保険者証(保険証)があれば、どこの医療機関でも大抵は問題なく受診でき、基本的には3割の自己負担で済みます。ところが海外となると、いつも利用している保険証を使うことはできません。

事前に民間の海外旅行保険に加入していれば、医療機関を日本語で紹介してもらえたり、キャッシュレスで治療が受けられたりするなど各社様々なサービスがあるようです。

しかし、こうした民間保険に未加入で、手持ちのクレジットカードにも付帯されている補償サービス等が特になければ、近くの医療機関で治療を受け、とりあえず医療費を全額支払うことになるでしょう。日本と違って思っていた以上に高いということも珍しくありません。

さて、このとき「海外旅行中は、無保険だったから仕方ない」と、あきらめてしまいますか?

実は、私たちが会社で加入している健康保険や国民健康保険にも、海外渡航中の傷病をカバーするサービスがあるのをご存知でしょうか。

医療費が一部戻ってくる「海外療養費」

海外旅行中に急な病気やケガなどにより、やむを得ず現地の医療機関で診療を受けた場合、一部医療費の払い戻しを受けられる「海外療養費」の制度があります。

ただし、日本国内で保険診療と認められる医療行為に限られ、インプラントや美容整形など、日本で保険適用とされていない医療行為や薬は認められません。また、治療を目的として海外へ渡航し診療を受ける場合は対象となりません。

それでは、海外療養費を請求した場合、どのくらい支給されるのでしょうか。日本では自己負担は3割なので、海外で支払った医療費の7割が戻ってくる…と思われる方もいるかもしれませんが、そういうわけではありません。

日本国内の医療機関で、同じ傷病の治療をしたときにかかる医療費を基準に計算した額(実際に海外で支払った額が低いときはその額)から、自己負担相当額を差し引いた額となります。

たとえば、海外で実際に支払った金額が日本円換算で8万円だったとしましょう。日本での基準額は、海外とは治療方法や医療体制が異なるために少なくなる場合があります。仮に基準額が6万円とした場合、自己負担額は1万8000円となるため、海外療養費として支給されるのは、4万2000円となります。

外貨で支払われた医療費は、支給決定日の外国為替換算率(売レート)を用いて円換算した額が支給されます。

申請には、渡航期間がわかるパスポートの写し、診療内容明細書(レセプト)や領収明細書、またそれらの日本語訳などの添付も必要です(詳しくは、加入している健康保険組合にご確認ください)。

なお、任意に加入している海外旅行保険で、支払い不要となるキャッシュレスの医療サービス等を利用したときは、自分で医療費を負担していないため海外療養費の対象となりません。

こうしたサービスは意外と知られていないので、「そういえば、あのとき…」と思い出した方は、今からでも利用されてみてはいかがでしょうか。海外で治療費の支払いをした翌日から2年を経過していなければ、申請は可能です。

佐佐木由美子(ささき・ゆみこ)
社会保険労務士。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所等に勤務。平成17年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、「働く女性のためのグレース・プロジェクト」でサロンを主宰。著書に「知らないともらえないお金の話」(実業之日本社)をはじめ、新聞・雑誌、ラジオ等多方面で活躍。

[nikkei WOMAN Online 2015年7月14日付記事を再構成]

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