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宇宙からの"見えない光" 巨大望遠鏡でとらえろ

日経サイエンス

天体は様々な波長の光を放っている。私たちが見ている光は、その中のごく一部にすぎない。宇宙から届く"見えない光"を観察することで、宇宙で起こっている非常に巨大な爆発現象や謎の高エネルギー天体の手掛かりを見つけようという壮大な国際共同プロジェクトの先陣を日本が切る。

大気を輝かせるガンマ線

可視光より波長の長い方は赤外線と電波で、短い方は紫外線とエックス線、ガンマ線だ。中でも最も謎が多いのが、最も波長の短いガンマ線だ。光のエネルギーは波長が短いほど高くなるので、光を粒子(光子)として見た場合、ガンマ線は最もエネルギーの高い光子になる。

天体からのガンマ線の中には、数は非常に少ないものの、可視光の光子が持つエネルギーのざっと1兆倍を超える光子が存在する。そしてこのモンスター級の光子が地球の大気圏に突入すると、大気そのものが輝く。

そんな超高エネルギーガンマ線による大気の輝きを100台超の望遠鏡群で捉える国際共同計画「チェレンコフ・テレスコープ・アレイ」が動き始めた。中核となるのは北半球と南半球にそれぞれ4台設置する巨大な光学望遠鏡。約200枚の反射鏡を組み合わせてつくる口径は23メートル。4台合わせた鏡面は畳800畳敷きになる。

その第1号の建設が日本主導で今秋から始まる。建設地は日本から遠く離れたアフリカ・モロッコ沖のカナリア諸島(スペイン領)ラ・パルマ島の標高2200メートルの高地。完成は来年11月の予定だ。

こうした超高エネルギーのガンマ線は太陽はもちろん夜空に輝く多くの星では生じ得ない。しかし、そうしたガンマ線が飛来している事実は、太陽などとは桁違いのエネルギーを解放する天体の存在を物語る。そうした天体はいったいどんなものなのか。チェレンコフ・テレスコープ・アレイでガンマ線の到来方向や詳しいエネルギーを観測すれば、その正体を突き止める有力な手がかりが得られる。

宇宙線の起源にも迫る

また宇宙空間では陽子や電子などの荷電粒子が超高速で飛び交っていて、人類が建設した最強の加速器でも到底生み出し得ない超高エネルギーを持つものも多い。「宇宙線」と総称され、地球にも常時降り注いでいるが、発見から100年以上たっても、それらが宇宙のどこで生み出されているのか、どんな"天然の加速器"によって超高エネルギーを獲得するのかよくわかっていない。

チェレンコフ・テレスコープ・アレイで観測する超高エネルギーのガンマ線は、この宇宙線の起源を解明するための有力な手がかりにもなる。超高エネルギーの宇宙線が誕生する場所では、超高エネルギーのガンマ線も生み出される可能性が非常に高いからだ。

計画によればチェレンコフ・テレスコープ・アレイを構成する全望遠鏡が稼働するのは2020年ごろ、そのとき、私たちは新たな宇宙の姿を知ることになる。(詳細は25日発売の日経サイエンス9月号に掲載)

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