2018年6月25日(月)

宅配サービスに人工知能、買い物や外食に「ウーバー革命」
宮本和明 米ベンチャークレフ代表

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2015/8/21 6:30
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■Uberのモデルをコピー

 Instacartのシステムは完成している訳ではなく、まだ学習を続けている。宅配スタッフは、正社員ではなくコントラクター(契約社員)で4000人いるとされる。

 宅配スタッフの給与は、配送件数と商品アイテムの数から算出される。Instacartは時給25ドル程度としているが、閑散期には時給10ドル程度ともいわれている。顧客からの注文が少ない時は、配送員は自動車の中で待機し、次の注文を待つことになる。

 Instacartのシステムは、スマートフォンを使った配車サービス大手の米Uber(ウーバー)のモデルをコピーしたものである。Uberはライドシェアと呼ばれる運輸ネットワークを展開し、45か国130都市でビジネスを展開している。ドライバーは自家用車を使って、自分の都合に合わせ働くことができる。この労働形態がドライバーに訴求し、サンフランシスコ地区ではタクシードライバーが、雪崩を打ってUberに移行している。

■好きなレストランから出前

 宅配サービスは、スーパーマーケットの買い物だけに留まらない。出前サービス「DoorDash(ドアダッシュ)」が破竹の勢いで事業を拡大している。同社は、地域のレストランと提携し、出前サービスを展開している。スマホ専用アプリから、レストランの料理を注文すると、DoorDashの宅配スタッフ(Dasherと呼ばれる)が届けてくれる。

 アプリには近所のレストランが掲載され(下の写真左側)、希望のレストランのメニューから料理を選ぶ(同右側)。写真は、この日は昼ごはんに、クレープを注文しているところである。

出典: VentureClef

出典: VentureClef

 ここで料理を選んで、チェックアウト画面で支払いをする。Apple Payで決済できる。料理の値段は同じだが、配送手数料が一律に5.99ドルかかる。チップはオプションで、「パーセントボタン」を押して支払う。

 注文が終わると、アプリには配送プロセスが表示される。11時2分に注文を受け付け、到着予定時刻は11時49分と表示された。実際には11時38分に料理が届けられたので、配達されるまでの時間は36分だった。だいたい30分程度で料理が届くので、一回使い始めると止められなくなった。

■レストランで食事するより早い

 この日は「Crepevine」というレストランで、Siena CrepeとPattaya Crepeを注文した(下の写真)。サラダとスプーンやフォークがついてきて、そのまま食事ができる。ここは大人気のレストランだが、予約を取らないので店に行って席が空くのを待たなくてはならない。ところが、DoorDashを使うと30分程度で食事が届く。レストランで食事するより早く食べられる、というわけだ。

出典: VentureClef

出典: VentureClef

 出前スタッフは女子学生で、自分の車で配送してくれた。女性は時間がある時に、DoorDashで出前サービスをしているとのこと。忙しそうでゆっくり話を聞けなかったが、学費や生活費を稼ぐため、働いている様子であった。

 出前で使う自動車には、フロントグラスにDoorDashのプレートが付いているだけで、特別な仕様にはなっていない。配送スタッフはDoorDashのTシャツを着ているが(下の写真)、私服で来る人も少なくない。つまりDoorDashは、出前サービスのインフラには、ほとんどコストをかけていない。

出典: DoorDash

出典: DoorDash

 ハードウエアにはお金をかけないで、ITを駆使して身軽に配送事業を展開するのがビジネスモデルである。ただ、DoorDashのケースでは、調理というプロセスが入るので、ロジスティックスが格段に複雑となる。調理時間や間違った料理への対応などが必要となるため、人工知能の手法である機械学習を使っていると言われている。

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