2018年6月24日(日)

宅配サービスに人工知能、買い物や外食に「ウーバー革命」
宮本和明 米ベンチャークレフ代表

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2015/8/21 6:30
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■柔軟な勤務体系がサービス品質向上の鍵

 筆者が注文した商品は、Instacart専用のショッピングバッグで時間通りに届けられた(下の写真)。ただし、注文したブロッコリーは在庫がなかったため、その旨はボイスメッセージで連絡を受けた。後ほど、この代金が払い戻された。

出典: VentureClef

出典: VentureClef

 米国企業のサービス品質は日本企業と比較すると必ずしも良くないが、商品が時間通りに届く上に欠品について細かい対応をしてくれたことに正直驚いた。

 宅配スタッフはJimという名前の男性で、自分の自動車を運転して商品を届けてくれた。JimはWhole Foods店舗を担当する配達員で、スマホで注文を受けて、それに従って買い物をし、商品を顧客に届ける。毎週5日程度の勤務で、その日は10時から14時までと16時から18時まで勤務していた。このように宅配スタッフは、自分の都合のいい時間帯だけ仕事ができる。

 宅配スタッフの多くは20歳代を中心とする、若い労働層が中心になる。しかし、Jimは60歳を過ぎた男性で、仕事を引退して宅配スタッフをしているようであった。

 彼が乗っている自動車はトヨタ「プリウス」で、身なりや話し方からすると、生活に困っている様子ではなかった。引退後も社会にかかわっていたい、という雰囲気を感じた。Instacartは柔軟な勤務体系を提供し、これが優秀な人材をひきつけている。

出典: Instacart

出典: Instacart

 宅配スタッフを希望する人は、Instacart専用サイトから応募する。応募者は履歴などの調査の後、面接と教育を受けて採用される。右の写真は応募のプロセスを示したもので、氏名などの基本情報に加えて、希望の勤務体系を記載する。ここで、仕事をする曜日や勤務時間などを指定する。希望する勤務地域も指定できる。自家用車を持っていれば、その情報を記載する。Webサイトで応募するだけで、簡単に宅配スタッフになれる。

 通常のパートタイムの仕事なら、企業が勤務時間を指定する。だが、Instacartは従業員が勤務時間を選択できる点で、パートタイムとは異なる。こうした自由度が高い勤務体系は「アラカルト勤務」とも呼ばれており、今の時代の労働者にアピールしている。

 一方雇用側は、配送スタッフの数が曜日や時間帯により大きく変わるため、需要に合わせた労働力の確保が新たな課題となる。マニュアルでの調整では間に合わず、人工知能などソフトウエアを駆使して最適化している。

 顧客に対して1時間以内に配送できるシステムの構築は、ソフトウエアの機能によるところが大きい。配送員の位置情報をGPS(全地球測位システム)で把握、日時や天候などの要因を勘案し、最適なロジスティックスを構成する。パターンの数が膨大なので、機械学習(Machine Learning)などの手法を活用。過去の事例を学習し、労働力の最適化を図っている。

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