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30年に千億円市場 業務用ドローン、普及のシナリオ

日経BPクリーンテック研究所

2030年には1000億円――。日経BPクリーンテック研究所の予測では、国内における業務用の無人航空機「ドローン」の市場規模は、ドローンの高機能化とともに指数関数的に拡大する(図1)。

これは、農林水産業、行政、巡視・点検、計測・観測、撮影、輸送・物流、危険区域作業、アトラクションなど業務用途で使用されるドローンの普及シナリオから、業務用に販売されるドローン本体とドローンを使用したサービス市場を合計したものである。

同研究所が2015年6月30日に発行した『世界ドローン総覧』で明らかにした。世界の173機種のスペックからロードマップを作成し、50以上の応用分野を分析し、シナリオを描いて市場規模を算出した。

この分析には、軍事用とホビー用途は含まれていない。マルチローター(回転翼)ヘリコプターを想定しており、固定翼や無人ヘリコプターは対象から外した。サービス市場は、ドローンの稼働日数とサービス単価から算出した。行政サービスのように無償で提供される場合は、同サービスを民間企業が実施した場合を想定して料金設定した。同様に自社が業務効率で導入した場合も、外部に委託した場合を想定してサービス市場に加えた。

ドローン普及のシナリオ

2015年の業務用ドローン市場は約30億円だが、2020年には約200億円、2025年には約440億円と拡大し、2030年には1000億円を超える。そこへ至るシナリオを、以下のように描いた。想定されるアプリケーションは50以上になる()。

首相官邸にドローンが墜落した事件により、その危険性がクローズアップされ、足元では導入を躊躇(ちゅうちょ)する企業が多い。この段階ではドローンを利用するとしても、専門に取り扱う企業に依頼し、自社では操作せずリスクを取らないケースがほとんどだ。サービス提供企業は限られた専門企業に集中する。

用途の広がりは限定的で、試験導入は多いものの、本格的に導入する用途は少ない。空撮やメガソーラーの点検、土砂災害や土木工事の測量などが主な用途である(図2)。

2020年ころには法制度が整備され、保険サービスも充実することで、リスクが軽減される。一方でドローンの性能も向上し、操作性は一段と容易になる。一般の事業者がドローンを使ってサービスを提供するようになり、用途も広がりを見せる。防犯や農薬散布でも一般に使用され、メガソーラーから普及した点検業務は橋梁や鉄塔などに広がる。災害など緊急時の物資輸送から、孤島や買い物難民への宅配など定期的な運用へと移行する。

2025年を過ぎると自律飛行がさらに高度化し、ドローンが搭載するカメラが周りを撮影して周囲の状況を把握しながら飛行する。サービスを提供する企業だけでなく、一般企業が自社の業務効率化のためにドローンを導入するケースが増える。点検や測量はドローンの導入が一般的になり、簡単な作業であればドローンを使って遠隔操作で作業することが試験的に行われる。

30年に業務用の年間販売台数が8200台に

業務用ドローンの販売台数は、2015年は約500台だが、2020年に約1500台、2025年に約3400台、2030年に約8200台に達する(図3)。その間に性能は急速に向上する。2015年から2020年のドローンの平均的な性能は、飛行スピードが時速数十km、ペイロードは3k~5kg、航続時間は15~20分。それが10年後の2025年以降は、飛行スピードが時速100~200km、ペイロードが20kg、航続時間は1~2時間に延びる。

インフラも整い、充電ステーションやバッテリー自動交換システムが普及し、1台のドローンの活動範囲は飛躍的に拡大する。

現在のドローンは、まだ黎明期の段階にある。それは1980年代のパソコン市場に例えられる。まだ「Windows」が普及しておらず、インターネットもない時代だ。その後、パソコン市場は、パソコンの機能拡大とともに爆発的に成長したが、ドローンも同様の道をたどると予測される

(日経BPクリーンテック研究所 菊池珠夫)

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