2019年2月16日(土)

事故原因は部品材料の欠陥か、トルコ・イズミット橋

2015/7/4付
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日経コンストラクション

トルコで建設中のイズミット湾横断橋で2015年3月に空中足場(キャットウオーク)が落下した事故は、部品の材料の欠陥が原因とみられることが分かった。施工者の親会社であるIHIが、6月25日の株主総会で明らかにした。

落下したのは、吊り橋の主ケーブルを架設するために設けた空中足場。現地時間の3月21日午後、空中足場を主塔に固定するためのロッドと呼ぶ棒状の金具が南側の主塔上で破断した。

IHIは事故を受けて、「イズミット湾横断橋重大事故対策本部」を設置し、専門家を現地に派遣するなどして構造と材料の両面から原因究明に当たっている。調査の結果、同社は空中足場を支える部品の材料に何らかの欠陥があったと推測している。しかし、元請けのJVが原因などを公表していないことを理由に、欠陥が疑われる部品の種類や数など、詳細な内容は明らかにしていない。

イズミット湾横断橋の建設工事は、IHIの子会社のIHIインフラシステムと伊藤忠商事のコンソーシアム(企業連合)が、トルコとイタリアの建設会社6社のJVから受注し、2011年9月に約11億米ドルで契約を締結した。工期は16年1月末まで。IHIインフラシステムは、橋の上下部工の設計と施工を担当している。

イズミット湾横断橋の完成イメージ(資料:IHI)

イズミット湾横断橋の完成イメージ(資料:IHI)

■工程の遅れは3カ月

事故原因の究明と並行して、空中足場の復旧工事を進めている。落下した空中足場の撤去を3月末に開始。6月29日時点で、新たな足場を架設している。

IHIは、空中足場の落下前の状態に戻すのに約3カ月かかり、復旧費用は約21億円に上ると見込んでいる。費用のうち18億円は15年3月期の連結決算に計上済みで、残りの3億円は次期の支出を予定している。

事故の影響で完成が遅れれば、遅延損害金の支払いが発生する。同社では納期に間に合わせるため、工程を見直して工期短縮を図るなど、具体的な方法を検討している。

■100人の日本人スタッフが携わる

イズミット湾横断橋の建設には約100人の日本人スタッフが現地で携わっている。そのうちIHIインフラシステムの51歳(当時)の日本人技術者が、空中足場の落下事故の後、トルコ国内の墓地で遺体で見つかった。現地の報道によると、事故に責任を感じた自殺とみられる。

IHIは、遺族の意向もあるとして、自殺した技術者の役職や担当業務などは明らかにしていない。現地で働く日本人スタッフに対する精神面のケアなどについても、事故の後、特に見直してはいないという。

(ライター 山崎一邦)

[ケンプラッツ 2015年7月3日掲載]

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