雨の日のゴルフ、中部銀次郎が見せた究極の準備
ゴルフジャーナリスト 地平達郎

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2015/6/25 6:30
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ミュージカル映画の名作のひとつ「雨に唄えば」。土砂降りの雨の中で、主役のジーン・ケリーがステップを踏みながら主題歌を歌う、あのシーンを覚えている方もおられるだろう。

映画の中なら、雨もまた楽し――となるが、ゴルフだとそうはいかない。

心の準備さえできていれば、雨もまた楽し

心の準備さえできていれば、雨もまた楽し

雨の日、どんな心構えで臨むか

はじめは傘をさして。そのうち雨が強くなると、雨がっぱを着てのプレーになる。スコアカードをぬらさないように、ボールやティーペグを出しやすいように、さらにグローブやクラブのグリップが滑らないように注意するなど、やらなくてはいけないことが普段の2倍にも3倍にもなる。

それより何より、雨の日のプレーほど憂鬱なものはない。好きだという人はまずいない。しかし、雷が鳴るなど、よほどのことがない限り、中止するわけにはいかない……。

では、どうすれば雨の中で少しでもスコアを崩さずにプレーできるのだろう。「普段と同じリズムで」「スイングが速くならないように」など、いろいろいわれるが、その前に、どんな心構えで臨むかも大切なようだ。

中部銀次郎さん。日本アマチュア選手権に勝つこと6回。生涯をアマチュアで過ごした伝説のプレーヤーで、ゴルフに向き合う真摯な姿勢が有名でもあった。数あるエピソードの中で、今も語り草になっているシーンがある。

ただ一人、雨にぬれながら練習

ある試合の朝のこと。夜来の雨が降りやまず、天気予報でも上がりそうにない。選手たちも一様に言葉少なで、表情も暗い。たまたま、そのコースの打撃練習場は上下2階建てになっていて、下は屋根があるものの、上は雨ざらし。当然みんなは順番を待って、ぬれない下の打席でスタート前の練習をしていた。

ところがたった一人、雨の中、上の打席で黙々とボールを打っている選手がいた。中部さんだった。初夏の大会とはいえ、気温はかなり下がっていた。モスグリーンのセーターを着てはいたものの、帽子をかぶらない主義の人だったので頭からは水滴が落ち、すでに全身がぬれ始めていた。

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