2019年3月22日(金)

スバル、走りより家族 生活・安心で売り込み

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2015/6/28 6:30
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富士重工業の自動車ブランド「スバル」の売り方が変わった。熱烈なファンを相手に「走り」を誇示するような姿勢は消えた。メーカーが自ら釣りやスキーなどのアウトドアイベントを企画し、「スバル車で出かける愉(たの)しさ」を訴える。売り場や接客手法を変え、クルマではなく、クルマのある生活を売る――。国産の高い安全性能や信頼感を背景に「家族を乗せる車」を狙い始めたスバルの変身ぶりを追った。

■親子釣りイベントや「安全」体験

「やった、釣れた」。5月末の日曜日、千葉県木更津市近くで7組17人の親子が釣りを楽しんだ。大半が初心者。イシモチやキスなど17匹を釣った茨城県牛久市の稲葉響くん(12)は「楽しかった。また行きたい」と話した。スバル主催でも車の話は無し。静岡県三島市の佐野有一さん(48)は「スバルに親近感がわいた」と笑顔をみせた。

「車の売り方」の常識でいえば異例だ。ディーラー(販売店)が顧客向けにゴルフ大会や宴会を開くことはある。しかし社会貢献を除けば、メーカーが車と無関係のイベントを開くのは珍しい。

米コンサルティング会社インターブランドによるとスバルのブランド価値は19億9800万ドル(2460億円)。トヨタ自動車などに比べて1ケタ小さい日本勢13位だったが、上昇率は前年比72%増で首位。「ぶつからないクルマ」の技術「アイサイト」が認知され、輸入車とも競い始めた。

5月からは新しい販促活動「スバルネクストストーリー」(SNS)を始めた。自転車や登山などのイベントも企画。「出かける愉しさ」を訴える。カヌーや天体観測など顧客から40件以上提案があり、「販売店と連携して地方に広げる」(小島敦SNS推進室長)。

「走り屋」の愛車か、商用の軽自動車――。固定的な印象が強いスバル車だが、家族向きのワゴン「レヴォーグ」(277万5600円~)を昨年購入した客の下取り車は51%がスバル車以外。半分以上が乗り換えだ。

輸入車からの乗り換えも5%。じわり増えている。2006年ごろ主力「レガシィ」(現在はセダン「B4」が286万2千円~)は輸入車からの乗り換えが3%程度だった。

仏プジョーの「206CC」から昨年、レヴォーグに乗り換えた東京都江東区に住む男性経営者(55)は「山によく行くのでスバルの四輪駆動技術が気に入っている。アイサイトは渋滞でも楽で満足」と言う。

販売店も変わった。スバル車で来店するとナンバーを自動で読み取る「ナンバーキャッチシステム」を14店で導入(予定含む)。来店動機や入庫予約を照会し、「○○様」と声を掛けて迎える。

「技術」は客が納得するまで訴える。全国30店で今春、高速道路での試乗を本格的に始めた。通常は店の近くを回る程度だが、アイサイトは車線や車間距離を保つ機能が売りもの。時速65キロメートル以上で作動する機能もあり、高速試乗で納得し、成約に至る例が増えた。

スバルのあるアウトドアライフを提案している(東京・渋谷の富士重工業本社)

スバルのあるアウトドアライフを提案している(東京・渋谷の富士重工業本社)

接客も変わった。6月半ばの週末、群馬県太田市のスバル店を訪ねた。駐車場に入ると4~5人の担当者が待機。「お車をお探しですか?」と声をかけてきた。近くの国産車と輸入車の販売店も訪ねたが、担当者が店外に待機していたのはスバル店だけだった。

調査会社のマイボイスコム(東京・千代田)の14年3月の調査でも「安心感・信頼感がある」でトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車に続く4位。上位3社が3年前より評価を下げたのに対し、スバルは2.4ポイント増えた。

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