2019年2月17日(日)

勝利の陰に栄養補給 敏腕サッカートレーナー挑む
スポーツライター 木崎伸也

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2015/6/20 6:30
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一般的にアスレチックトレーナーと言うと、練習前のウオーミングアップを行ったり、基礎能力を上げるためのフィジカルメニューを作ったりするのが仕事というイメージがあるだろう。

だが、モダンフットボールでは、より多い運動量と強度の高いプレーが求められるようになり、ただ体を鍛えるだけでは不十分になってきた。いかに栄養を取り、いかに回復を早めるかも、トレーナーの仕事の一部になろうとしている。

「科学的見地から、何を口にすべきかはある程度のスタンダードができつつある」とシュレイ氏

「科学的見地から、何を口にすべきかはある程度のスタンダードができつつある」とシュレイ氏

練習・試合での栄養補給が重要

来季、ドイツ1部リーグのドルトムントのフィットネス責任者に就任するライナー・シュレイ氏にドイツでインタビューすると、この陸上競技出身のトレーナーは右手を広げて説明した。

「コンディション面で求められる要素は5つある。それを私は指にたとえている。まず親指は『アスリートとしての基本能力』。柔軟さ、パワー、スピード、持久力、バランス、安定性などだ。続いて人さし指は『日常の食事』、中指は『腱(けん)・靱帯のケア』、薬指は『練習・試合における栄養補給』、小指は『回復』。トレーナーはこの5つの要素にアプローチしなければならない」

個人的に驚いたのは、食事に関しての項目が2つも入っていたことだ。「日常の食事」はもちろん、「練習・試合における栄養補給」がパフォーマンスを高めるだけでなく、ケガをしづらい体を作るうえでも極めて重要だと言う。

「たとえば練習と試合では、特別なドリンクを用意している。もちろん選手ごとの好みがあるので、すべて強要するわけではない。話し合いのうえで水のみを飲む選手もいる。だが、科学的見地から、何を口にすべきかはある程度のスタンダードができつつあるんだ」

コンディションの大切さ知らしめる

シュレイ氏はドイツで最も知られたトレーナーのひとりだ。

もともとはケルンの五輪強化センターやグラウンドホッケーのトレーナーとして活躍していたが、2006年にドイツ3部のホッフェンハイムが本格的に強化に乗り出したときに、「プロジェクト・ホッフェンハイム」の一員に抜てきされた。

ラルフ・ラングニック監督(現・RBライプツィヒ監督)が求める「パワーフットボール」(=90分間激しいプレスを続けるサッカー)には、スピード、爆発力、体力が必要だ。シュレイ氏はそれを実現すべく、5つの要素すべてに取り組み、08年の1部昇格に貢献した。そして1部挑戦の初年度、ホッフェンハイムは「秋の王者」(前期首位チーム)に輝き、コンディションの大切さをドイツ中に知らしめた。

「よく対戦相手から『ホッフェンハイムの方が1人多いかのようだ』と言われた。今や他チームも運動量の大切さに気がつき、ドイツでは爆発的な動きを90分間続けることが常識になったんだ」

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