約7000万円の損害賠償、外壁不具合で熊谷組を提訴

2015/6/18付
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日経アーキテクチュア

外壁タイルに大量の浮きが発生したのは施工不良が原因だとして、マンションの所有会社が施工者の熊谷組を相手取り、約7000万円の損害賠償を求める訴訟を6月9日、大阪地方裁判所に起こしたことが明らかになった。

問題となっている大阪市平野区の賃貸マンション「サニークレスト平野西脇」。1999年に竣工(写真:SKYリアルエステート)

問題となっている大阪市平野区の賃貸マンション「サニークレスト平野西脇」。1999年に竣工(写真:SKYリアルエステート)

問題となっているのは、大阪市平野区の賃貸マンション「サニークレスト平野西脇」。12階建ての鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)で1999年に竣工した。成建築都市設計事務所(東京都渋谷区)が設計した。

訴えを起こしたマンションの所有会社、SKYリアルエステート(大阪市)の松本勝秀社長によると、2012年3月に10階付近のタイルが横一列に浮いているのを発見。指摘を受けた熊谷組は、12年9月に西側妻面に足場を設置し、打診検査でタイルの浮き状況を調査した。同社が提出した調査書には、検査した西面の約14%で浮きを確認したと明記。特に2階は50%、4階は42%、12階は40%と浮きの比率が高かった。

熊谷組は調査報告書で、浮きの比率が高い3フロアについて「何らかの施工上の不具合があった可能性は否定できない」として、無償での補修に応じる意向を示した。しかし、ほかのフロアについては「経年劣化と思われる浮き」と判断して有償での補修を要望。すべて無償での補修を求める所有会社と対立した。

その後、南面や東面でも同様の不具合が見つかったため、SKYリアルエステートは自社で負担した約5600万円の補修費を含めた損害賠償を求めて提訴した。

■不法行為に基づく賠償請求

問題となったマンションは築16年。従来、瑕疵担保責任の時効である10年を過ぎると、設計者や施工者の責任を問うことは難しかった。

しかし、11年7月の最高裁判所の判決(別府マンション事件)で、設計者や施工者が負うべき不法行為責任の範囲が示され、外壁が剥落して通行人に人身被害を与える恐れがあるような場合には、建物の基本的な安全性を損なう瑕疵に相当するとされた。民法の不法行為に基づく損害賠償請求権の除斥期間(時効)は20年であることから、今回のケースでも「別府マンション事件の判例も念頭に置いて訴訟に踏み切った」(松本社長)という。

熊谷組広報部は「既に訴状は届いているので、これから内容を精査して対応を考えていきたい」としている。

(日経アーキテクチュア 小谷宏志)

[ケンプラッツ 2015年6月18日掲載]

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