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「米国追いかけるな」 米ボックスCEOが熱論

 テクノロジーをテコに世界のビジネスが変革期を迎えた。イノベーションを担うのは起業家たち。新コラム「STARTUP X」では、未知(=X)への熱き挑戦をお伝えしていく。

今、米国でもっとも熱いスタートアップ企業のBox(ボックス)。カリスマ創業者のアーロン・レヴィ氏に単独インタビューをした。クラウド型のデータ保管・共有サービスを提供するBoxは、法人向けに特化する戦略で急成長している。レヴィ氏は6月16日、日本経済新聞社が東京・南青山で開催したイベント「STARTUP X」に登壇するために来日した。講演では、IT(情報技術)による産業の変容について熱く語った。

――ボックスは1年半前に日本進出し、事業拡大に取り組んでいる。日本市場の可能性をどう捉えていますか。

来場者の質問に答える米Boxのアーロン・レヴィCEO(16日、東京・南青山)

日本は何十年もの歴史もつ企業が多いですが、縦割りの組織がネックになって、国際競争力を失いつつあるとみています。その打開策として、まずテコ入れしなければならないのは、働き方です。

クラウドストレージを活用すれば、企業内はもちろん、世界各国の取引先とも情報を簡単に共有して、迅速な経営判断を行うことができます。商機をつかんで、今後3~5年で日本のユーザー企業を数千社、いや、数万社にも増やしたい。

――個人としても日本がお好きだとか。

14歳のときに空手部に入ったのですが、練習が大変すぎてやめてしまいました。すしなどの日本料理は大好物で、週に数回は食べていますね。

昔は任天堂のゲーム機にも夢中でした。任天堂がクラウド市場に参入せず、大きなビジネスチャンスを逃したことは、ファンの一人として本当に残念だと思っています。もし、スマートフォン(スマホ)向けのゲームを出してくれていれば、月に数十ドル払ってでも、僕は使ったと思いますよ。消費者は特定のハードウエアにこだわらなくなったので、21世紀のビジネス展開は「ネット接続」が欠かせません。

――デジタル時代に入って、産業はどう変わるのでしょうか。

スマホのボタン一つを押すだけでクルマが迎えにきてくれる配車サービス「Uber(ウーバー)」を例に取り上げて説明しましょう。

【Aaron Levie】 米シリコンバレーに本社を置く、ボックスの創業者兼最高経営責任者(CEO)。1985年シアトル生まれ。大学生の頃、校内のファイル共有の難しさを実感したのが、クラウドストレージ事業を立ち上げるきっかけになった。ボックス設立直後は、すべての資金を事業拡大に投じたいと考え、毎日のようにカップラーメンを食べて節約に努めたという。15年1月、米ニューヨーク証券取引所に上場した

Uberは、アプリの開発・運営を事業としており、登録者が所有する車を活用することによって、自社ではアセット(資産)を用意しません。ちなみに、ホテルを一つも持たずに、世界最大手の宿泊事業者になった「Airbnb(エアビーアンドビー)」も同じモデルで成功しました。

Uberが産業にどんな影響をもたらすかというと、まず、車そのものの需要が縮小して自動車メーカーの販売が落ちます。さらに、車を買う人が減れば、自動車保険に加入したり、洗車機を使ったりする人も少なくなりますよね。連鎖反応のように各産業は需要が変わり、ビジネスモデルの変革を迫られるわけです。

今回、日本に来て驚いたのは、まだタワーレコードの店舗があること。米国ではもう見かけませんから。5年後の日本はどうなんでしょうか。デジタルビジネスは可能性が大きい一方、従来の産業がなくなるという意味で少し怖い所もあると思います。

――日本企業はどうすれば、デジタル時代に対応できるとお考えでしょうか。

商品の変革に着手する前に、社員の働き方を時代に合わせる必要があります。これは日本企業に限ったことではなく、コカ・コーラやゼネラル・エレクトリック(GE)など米国の老舗企業も同じ問題に直面してきました。彼らが対策を講じたのは、クラウドストレージの採用による情報共有の改善です。同じように、当社サービスで日本企業を支援したい。

働き方を変えれば、国際競争力を取り戻せると確信しています。日本企業は、ロボット技術やライフサイエンス、医療機器など、胸を張って世界と戦える分野が多い。競争力が中途半端な分野で米国を追いかけるよりも、強みを磨いて差異化を図ったほうがよいと思う。もし僕が日本企業のトップだったら、そうすると思います。

(電子編集部 ゼンフ・ミシャ)

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