2019年6月27日(木)

オワハラ 行き過ぎた「愛」は成就するか

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2015/6/18 6:30
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■弁護士は「違法性ある」

日本経済の人手不足感が強まるなか、企業にとっても人材確保は死活問題だ。とはいえ、オワハラで囲い込むのは法的にもすれすれの行為のようだ。労働問題に詳しい今津幸子弁護士は「学生の自由な意思形成を阻害する過剰な行為は強要罪に当たる可能性がある」と指摘する。強要罪は「一定の決意をした者にその内容と異なる行為を強制する」などの行為がそれに当たる。今津弁護士に、冒頭で紹介したテレビ局による他社辞退の事例を説明してみると、やはり「違法性がある」との答えだった。内定が欲しい学生の弱みにつけこんで、行き過ぎたオワハラを強行すれば、暴露されたときのリスクも大きい。

内定は、学生と企業の相思相愛のたまもののはず(写真はイメージ)

内定は、学生と企業の相思相愛のたまもののはず(写真はイメージ)

企業が内定を出すということは、いわば学生からの応募という「ラブコール」に応えるということ。オワハラはその企業側の「好意」が行き過ぎてしまった形だともいえる。もちろん行き過ぎた好意は迷惑にほかならないのだが、愛の形は人それぞれ。熱意がオワハラを超越し、相思相愛が成就するケースもある。

関東の私立大学の工学部に通う男子学生は5月に中堅ITベンダーから内定を得たところ、定番のオワハラに遭遇した。他社の選考を全て辞退したうえで、大学の指導教授名入りの推薦状を提出するよう求められた。8月に控える大手企業の選考も視野にいれていたため、指導教授と相談しながら提出を引き延ばしていたのだが、内定先からは提出期限を6月に区切られてしまった。

企業もこの学生を逃がすまいとあの手この手を打ってきた。学生を呼び出しては若手社員との懇親会を開催。出身高校が同じ先輩社員や、趣味が共通の社員をそろえてきたという。「まるで昔からの知り合いのような雰囲気に乗せられて、息子はすっかり会社のことを気に入ってしまったみたい」と、男子学生の母親は気が気ではない。先ごろ、ついに推薦状を提出したという。

(高尾泰朗、牛込俊介、松本千恵)

 次回は6月25日(木)に掲載予定です。

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読者からのコメント
40歳代男性
第2志望の内定をキープし続けた挙句に辞退する事は、 その企業にとっては勿論、その企業を第1志望にしている他の学生にとっても迷惑行為になると思います。 行き過ぎたオワハラは問題ですが、売り手市場を 背景にした就活生の自己中心的な言動を戒め、 伊勢丹早川氏の言うように志望順位を明確に表明 することを学生に求めるべきではないでしょうか。
60歳代男性(その他)
学生が自社を第一志望であると申告しているのであれば当然の行為だと考えます。
50歳代男性(その他製造)
入社する気がない会社の内定をもらう方がおかしい。そろそろ、不幸な一斉入社をやめた方がよい。
30歳代男性(金融・証券・保険)
一通りの採用が終わった後で他社で内定出たから辞退しますといわれても人事はリカバリーできないだろう。また、誰かが内定受けた代わりに落ちるやつがいることを本当に理解している学生はどれくらいいるだろうか。
50歳代女性(その他)
「採用したい」というのは企業の一方的な都合。採用のプロが素人の学生に強要するのはフェアではない。人余りのときには平気でリストラしてくるのでは。私が学生なら辞退させていただきます。
60歳代男性(不動産)
企業に迷惑が掛かってはいけないような記述がありましたが、とんでもないと思います。他を断らせる条件は採用決定だけだと思います。採用決定したとしても断る権利は学生にあります。
30歳代女性(電気、電子機器)
新卒だけで年間採用数を決めるからこのようなことになるのでは?第二新卒、中途採用も含めた年間の採用計画にすれば新卒を囲い込む必要がなくなると思います。
50歳代男性(情報処理、SI、ソフトウェア)
"企業側の都合で人生を左右されるのはおかしい。 終身雇用も崩壊した日本において、学生側ももっとドライに行くべきである。 内定はとるだけとって、後で断りまくれ! 日本の企業にそれを非難する資格はない。"
20歳代以下女性(人材サービス)
就職活動で新卒は一度きり。日本は新卒贔屓するにも関わらず企業事情で決断を迫るのは違和感を感じる。
40歳代女性(電気、電子機器)
採用側からすると止むを得ない状況なのでは?このような問題も、春の新入社員一斉入社という流れを無くして、働きたい人の採用と動きが通年あることが常態の社会構造になると、無くなるように思えます。
40歳代男性(コンサル・会計・法律関連)
目の前で電話させるのは行き過ぎだが、内定という解約権留保付き労働契約を締結する以上、契約意思を確認するのは当然だ。内定後、企業には雇用義務、学生は自由に内定を破棄できる現状制度はフェアではない。
50歳代男性(コンサル・会計・法律関連)
基本的には、「職業選択の自由」を阻害する行為であって違法~不当。ただし、社会に出てしまえばこの程度の事は、ビジネス遂行上の駆け引きの範囲にあって、日常茶飯事。うまくかわして乗り切るしかない。
40歳代男性(自動車、輸送機器)
過保護だと思います。それくらい自分で解決出来る人を採用したいと感じます。
60歳代男性(教育・教育学習支援関係)
面接試験の一環と受け止めるべきだろう。内定を出していただくことに感謝しつつも、貴社が自分にとって何番目の会社であることを告げて、就活を続けるべきだろう。
60歳代男性(コンサル・会計・法律関連)
僕が就活をした昭和50年からこうした現象は散見されました。雇用側が圧倒的優位な中でのこうした横暴は未来永劫に無くならないのです。
20歳代以下男性(コンサル・会計・法律関連)
そもそも、そうした囲い込みをせざるを得ない採用及び就職活動での学生との信頼関係構築に問題があるが、「オワハラ」が不当ならば、学生の「承諾後の辞退」も不当では無いのか問いたい
70歳代以上男性
弱肉(就活学生)強食(企業)、やられたらやり返せも世の常。しかし、社会の安定のために法律は作られ、弱肉強食が過ぎないようには按配する。しかし、グローバル競争というストレスが強者の焦りを産む。
50歳代男性(情報処理、SI、ソフトウェア)
毎年毎年アレが問題だコレが問題だと騒ぐ新卒入社なんて制度をさっさと撤廃すべきじゃないですかね。
30歳代男性(素材)
職業選択の自由を奪う、卑劣な行為としか言葉がみつかりません。オワハラをする企業や団体は、日本には必要ありません。即刻、廃業または解散してください。
30歳代女性(卸売・小売業・商社など)
企業の取引で言えば、「他社に同商品を卸さないなら、取引してやってもいい」と言っているようなもの。最終的に自分の会社を学生に選んでもらえる自信がないから取る手段でしょ、情けない。
30歳代男性(食品、医薬、化粧品)
学生の内定辞退は「あなたの会社には(よそより)魅力がない」というメッセージ。真摯に受け止めるべきではないか?
70歳代以上男性(自動車、輸送機器)
本当に入りたい会社というものをもっと真剣に考えて決めるべきだ。それで落ちたら浪人するぐらいの気概が必要で。 そういう学生ならうちで絶対採る。
60歳代男性(公務員)
息子が誓約書を強要された。大学のキャリアセンターと相談すると「提出して可、引き続き、第一志望に向かって就活して可」。企業側は経営状態が悪くなれば、内定者をフォローをするはずがない。困惑する者は自明。
60歳代男性
何の為に、その企業を選ぶのか、それが明確に答えられない学生はいらない。私も東証一部上場企業の開発部長を勤めたが、恋愛に例えれば二股も三股も掛けるような人材は会社に入っても碌な仕事は出来ない。
50歳代男性(卸売・小売業・商社など)
昔からあった話で目新しいことは何もない。
30歳代男性(コンサル・会計・法律関連)
する側の気持ちは理解できますが、職業選択の自由の原則に反するのでは。繋ぎ止めたいなら内定者が入社したいと思えるような施策を考えるべき。
40歳代男性(電気、電子機器)
企業は人を大切にして欲しい。成果主義こそ諸悪の根源。
70歳代以上男性(コンサル・会計・法律関連)
ハラが付くほどでは、相当な不当圧力で違法になる。オワネガイ、と言う程度なら合法だ。
50歳代男性(情報処理、SI、ソフトウェア)
職業の自由な選択に反しないのですかね。
60歳代男性
メディアの表現でも何をパワハラかはレベルが色々、受け手の対応能力で決まると、普遍的な定義は困難、
60歳代男性(教育・教育学習支援関係)
企業が学生の採用に際して選ぶ権利があるのは当然の事。逆も真なりで、学生側にも選ぶ権利は当然。只、内定をして余りにも時間が経過をしての内定辞退は常識の範囲内にしなければ。

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