オワハラ 行き過ぎた「愛」は成就するか

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2015/6/18 6:30
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■「優先順位は正直に」

大人の事情はさておき、就活生としてはオワハラを受けても第1志望の企業の選考が後に控えていれば、就活を続けたいところ。うまくかわす手はないのだろうか。

学習院大学では5月以降、オワハラに対処する心構えを指南している。淡野健キャリアセンター担当事務長は「後に残っている志望企業に落ちてしまった場合に、入社する気持ちがあるなら、ありがたく内定を頂くように」と話す。

「内定を承諾する企業は最小限にとどめておくべき」との指摘もある(写真はイメージ)

「内定を承諾する企業は最小限にとどめておくべき」との指摘もある(写真はイメージ)

たとえオワハラ企業であったとしても、「企業が内定を提示することは極めて重要な経営判断であり、学生はその判断に感謝し、誠意を持って対応すべし」と口酸っぱく説く。そのうえで、各社の選考スケジュールや志望度合いの優先順位を念頭におきながら、内定を承諾する企業は必要最小限にとどめておくべきだという。いったん承諾した内定を後になって辞退することも可能だが、内定辞退は企業に迷惑がかかるのも事実だからだ。

三越伊勢丹ホールディングスの採用実務を担う三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズの早川正一取締役は「内定が重複するのは避けがたいかもしれないが、最終面接までには優先順位をはっきりさせておき、正直に話してほしい」と話す。その代わり三越伊勢丹は、学生が自社とライバル社の優先順位を付けやすいよう、学生とのコミュニケーションを密に図ろうとしている。社員と会える機会を積極的に設け、働く姿を想像させるなど、他社との比較材料を与えているのだ。

内定先の企業に就活を続けることを正直に話すかどうかはケース・バイ・ケースだとしても、継続すること自体は自分の意思で決めることができそうだ。しかし、採用担当者の目の前で他社選考の辞退を強要された場合は切り抜ける手はあるのか。

都内私大の男子学生はある企業の採用担当者に迫られて、志望度の高い企業に辞退の連絡を入れてしまった。ところがどうしても諦めきれず、辞退の連絡をした翌日、ダメもとで連絡を取り直し、事情を説明してみた。すると意外にもあっさり元の選考コースへの復帰が認められたという。「何のためのオワハラだったのか、拍子抜けしてしまった」。

もっとも、このやり方がほかの企業にも通じるとは限らない。

複数の企業の採用担当者に、オワハラを受けて一度内定を辞退してきた学生が、再び選考復帰を求めてきたらどうするか聞いてみた。「事情を聞いたうえで選考復帰を認める」(小売り大手)という声があがる一方、「追い詰められると嘘でごまかすというネガティブな印象を持ってしまう」(製造業大手)との声もあった。社員個人や企業としての「信用」をどれほど重視するのか――。企業や業種のカラーに左右される面もあるようだ。

■退路を断つ度胸を見る

調査を進めていると、意外な事実も浮かび上がってきた。

ある流通大手の人事担当は「当社はオワハラはしないが」と断ったうえで、「オワハラを受けやすいのは採用ラインギリギリの学生ではないか」と話す。「優秀な学生であれば納得するまで他社の選考を受けたうえで当社に来るか判断してもらっている。一方、志望動機の軸がぶれていたり、当社に対する志望度合いが見極めにくかったりすると、学生にプレッシャーをかけることもありうる」という。

また、あるITベンチャーの採用担当者は、「内定の伝え方は学生のタイプ別に3パターンある」と話す。

第1はベンチャー志向の最優秀層で、人事部相手では物足りず、直接トップと議論して入社を決めたがる学生。この場合、企業のトップ自らが説得して学生と握手を交わすという。

第2は大手商社などの結果が出るまで決めきれない学生。このタイプは大手の結果がでるまで人事部が説得しつつ粘り強く待ち続けるしかないという。

第3が大手志向でもないのに、ベンチャーに決めきれない学生。この場合、「入社を決めてくれれば、即内定」と人事部が口説く。つまり、オワハラは、なにがなんでも囲い込みたいという企業のエゴという側面だけではなく、優柔不断な学生にプレッシャーをかけて、退路を断つことができるかできないか、ふるいにかける"選考の一過程"ととらえることもできる、というわけだ。

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