2018年12月19日(水)

臨床試験基盤も投入、アップル「デジタルヘルス」の野望
宮本和明 米ベンチャークレフ代表

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2015/7/7 6:30
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■パーキンソン病研究アプリも登場

MyHeart Counts以外にも、ResearchKitで開発されたアプリが登場している。その一つがパーキンソン病研究のためのアプリ「mPower」で、米ロチェスター大学(University of Rochester)と米Sage Bionetworksによって開発された。アプリで敏しょう性、バランス、記憶力、足並みを測定することで、日常の行動と病気の関係を理解する。

出典: Apple

出典: Apple

モニターはアプリを起動し、人さし指と中指で画面を早くタップしたり(上の写真)、マイクに向かって長く「アー」と発声する。敏しょう性や発声とパーキンソン病の関係を解析する。研究に寄与するだけでなく、モニターは自身の病気の予兆を早く知ることができる。

このほか、糖尿病研究のためのアプリ「GlucoSuccess」や乳癌研究のアプリ「Share the Journey」などもリリースされている。

■IT大手企業がデジタルヘルスで競争

米Google(グーグル)は2014年7月、人体を研究するプロジェクト「Baseline Study」を開始した。Baseline Studyは175人の健康なモニターから遺伝子と分子情報を収集し、健康な人体の基礎情報を把握する。心臓疾患や癌の兆候を、早期に発見することが目的だ。

身体情報はウエアラブル端末で収集する。例えばGoogleが開発したコンタクトレンズを使うと、血糖値をリアルタイムで測定できる。測定したデータは、個人の遺伝子情報と共に、人工知能を使って解析される。健康な人体を定義し、医師は病気予防に重点を置いた措置が可能となる。Googleのほかにも、米Microsoft(マイクロソフト)、米IBM、韓国サムスン電子なども、デジタルヘルス分野で技術開発を加速している。

IT企業がデジタルヘルス事業を展開する背後には、テクノロジーの進化がある。プロセッサーやセンサー、人工知能の技術開発が進み、低価格で生体情報を収集・解析できるようになったのだ。

AppleはResearchKitで、Healthやウエアラブル端末を束ねるアプローチを取っている。ResaerchKitを使うと、病院や製薬会社は臨床試験を従来よりはるかに容易に展開できる。今回はiPhoneで身体情報を収集するケースを紹介したが、やはり最適なデバイスはウエアラブル端末で、Apple Watchを見据えた設計となっている(下の写真)。

出典: Apple

出典: Apple

Apple Watchが持つ機能は現在、心拍数の計測に留まるが、将来は幅広い生体情報を収集できるようになる、と期待されている。医療現場では、ResearchKitは医学研究にインパクトを与える画期的なツールとして評価が高まっている。

宮本和明(みやもと・かずあき)
米ベンチャークレフ代表 1955年広島県生まれ。1985年、富士通より米国アムダールに赴任。北米でのスーパーコンピューター事業を推進。2003年、シリコンバレーでベンチャークレフを設立。ベンチャー企業を中心とする、ソフトウエア先端技術の研究を行う。20年に及ぶシリコンバレーでのキャリアを背景に、ブログ「Emerging Technology Review」で技術トレンドをレポートしている。

[ITpro 2015年4月15日付の記事を再構成]

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