2018年10月24日(水)

臨床試験基盤も投入、アップル「デジタルヘルス」の野望
宮本和明 米ベンチャークレフ代表

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2015/7/7 6:30
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■心臓年齢や病気にかかる確率を算出

計測は一週間続き、最後に「ストレステスト」が行われる(下の写真左側)。これは名前の通り、心臓に負荷をかけ、心拍数を測定して健康状態を算定するものである。モニターは三分間できるだけ早く歩き、アプリで歩行距離を記録する。

出典: VentureClef / Stanford Medicine

出典: VentureClef / Stanford Medicine

Apple Watchや他のウエアラブル端末で、歩行中と終了三分後の心拍数を計測する。アプリは年齢、性別、身長・体重に応じた歩行距離や心拍数をベースに、モニターのフィットネス状態を算定する。今回、テストした時点ではApple Watchは出荷されていなかったため、歩行距離だけが計測された。

アンケート調査「Heart Age」に回答すると、モニターの心臓年齢を算出(上の写真右側、サンプル)。心臓の健康年齢と病気(心臓疾患と脳梗塞) にかかるリスクの程度が表示される。このケースでは、62歳のモニターの心臓年齢は60歳と多少若く判定されている。病気発症の確率は6%と、目標値(7%) よりいい結果となっている。

ちなみに筆者は、病気にかかるリスクが標準より高いと判定された。健康状態をデジタルに示されるとインパクトが大きい。これを契機に、食生活の改善や運動の強化を考えているところだ。

試験は7日間続いてセットされ、それが三か月ごとに繰り返される。一週間の試験が終わると、アプリはモニターに対し、毎日運動するよう「コーチング」する。三か月後に、再度同じ試験を一週間行う。コーチングはゲームやメッセージなどで、アプリはどの方式が一番効果があるかを検証する。

■データの“質"が議論に

スタンフォード大学は、アプリを公開してわずか24時間で、1万人が登録したと公表した。これだけの規模のモニターを募るには、通常50の医療機関で1年間募集する必要があるといわれるので、iPhoneアプリとHealthで臨床試験ができるようになったインパクトは大きい。

収集したデータはそのままクラウドに記録される。同大学は従来の紙ベースの臨床試験と比べ、はるかに効率的に知見を得ることができると評価している。

ResearchKitで開発したアプリを使った臨床試験に対しては、様々な意見が寄せられている。まず、モニターから得られるデータの“質"が議論となっている。iPhone利用者は高学歴・高収入という統計情報があり、臨床試験モニターはデモグラフィックス(人口分布)を正しく反映していないのでは、という疑問の声も聞かれる。

その一方で、FDA(米国食品医薬品局、新薬などの認可をする機関)はスマートフォン(スマホ)を使った臨床試験について肯定的な評価をしている。アプリを使った臨床試験で、医療技術が進むことを期待しているのだ。ちなみに、このアプリは医療行為にかかわるものではないため、FDAの認可は不要である。

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