羽田空港を3Dデータ化、保守管理や新サービスに活用

2015/6/15付
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日経アーキテクチュア

羽田空港(東京国際空港)の施設を運営する日本空港ビルデングが、既存の空港施設のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データを作成し活用することが明らかになった。同空港のICT(情報通信技術)化プロジェクトの一貫で、作成したBIMデータは施設の保守点検といった管理業務に用いるほか、多言語表示の案内サービスやデジタル広告の表示など様々な事業で利用する方針だ。BIMデータの活用を足掛かりに、新しい空港施設を目指す。

まずは国内線の第1旅客ターミナルと第2旅客ターミナルの施設の一部からBIMデータの作成を開始。同施設については2015年中にBIM化を終了し、16年春ごろにはBIMデータを使った利用者向けサービスを提供する予定だ。20年の東京五輪・パラリンピックに向けて外国人利用者が増加することなども踏まえ、整備を進める。

施設のBIMデータを作成する作業は、BIMのソリューションソフト「FUZOR(フゾー)」を販売するレッドスタックジャパン(川崎市)が担当する。既存の図面データなどをもとに3次元のデータを作成。必要な情報なども入力しBIMのデータを作成。図面が存在しない部分などについては3Dスキャナーを活用してデータ化する予定だ。第1・第2旅客ターミナルのBIMデータが完成した後は、保安区域などのBIM化も進める方針。コンピューターの中に現実の空港施設と同じバーチャルな空港をつくり上げる。

羽田空港のBIM化に向けたデモンストレーション画面(資料:レッドスタックジャパン)

羽田空港のBIM化に向けたデモンストレーション画面(資料:レッドスタックジャパン)

■出店者にもBIM活用を促す

羽田空港の施設そのものの情報をコンピューター上にBIMで再現すると様々な事業展開が可能だ。同プロジェクトに参画するレッドスタックジャパンの担当者は、同空港のBIM化構想についてこう説明する。

例えば、施設内の案内板を仮想空間の空港施設で多言語対応とする。現実の世界ではスペースの都合などで様々な言語に対応した表示を増設することは難しいが、仮想空間であれば利用者が自国語を選択するだけで、全ての案内板の言語表示が変えられる。さらに、利用者の属性に合わせれば、現実の施設で表示されている広告とは異なるものを仮想空間内の広告スペースに表示することも考えられる。

また、3Dで順路を示すナビゲーション機能なども提供可能だ。チェックインしたものの空港内で迷い、搭乗ゲートに到着していない利用者がいれば、その人の端末にアラートを表示すると共に、道案内を開始するといったこともできる。

これらのBIMを活用した新たな利用者向けサービスは、スマートフォンやタブレット端末向けに提供する予定だ。iOSとAndroidの両OS(基本ソフト)に対応した専用アプリケーションを用意し、そのアプリで空港施設の情報を閲覧できるようにする。

施設の保守管理などでの利用も促進する。例えば、航空施設内に出店する店舗の管理をBIMで実施する。どのエリアに店舗の空きが生じるか、どのような配置になっているかといったマーケティングにも応用可能だ。

今後は空港施設内に出店する企業に対してもBIMの活用を促すことも考えたいという。例えば入居する際に店舗の内装情報やレイアウト情報などをBIMデータとして受け渡してもらい、空港施設の統合BIMに取り込んで一括管理することを目指す。

(日経アーキテクチュア 安井功)

[ケンプラッツ 2015年6月15日掲載]

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