日銀・黒田総裁発言、突然の円高を誘発 - 日本経済新聞
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日銀・黒田総裁発言、突然の円高を誘発

実質実効為替レートが、「かなりの円安水準」としたうえで、これ以上の円安は「ありそうにない」との黒田東彦・日銀総裁の国会発言が、突然の円高を誘発した。日銀総裁の為替に関する発言としては異例の言い回しといえる。これを受けた外為市場では、124円60銭台から1時間ほどの間に122円台後半まで円が買われている。

5月米雇用統計の好転により、外為市場では、ヘッジファンドや個人投機家の間ではドル買いの安心感が拡散していた。しかし、この報道を受け、一斉に、手じまいあるいは、損切り(ストップロス)のドル売り・円買いが発動されている。

米ニューヨーク(NY)は深夜だが、為替急変が伝わるや、続々状況確認の電話・メールが相次いでいる。

急激な円高は、株式市場にも波及。日経平均も乱高下している。

世界的に金利が「説明のつかない」動きを繰り返し、市場の警戒心が強まり、リスクオフ・モードに入ったところでの、日銀総裁の「口先介入」ともいえる発言は効いた。

NYのヘッジファンドたちのポジションも、大きくドル買い・円売りに傾いていただけに、一斉に巻き戻しに走っている。

ECB(欧州中央銀行)ドラギ総裁の「市場のボラティリティー(変動率)の高さには慣れるべし」との発言を裏付けるような乱気流に遭遇した市場は当惑している。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島逸夫事務所(2011年10月3日設立)代表。11年9月末までワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表を務めた。
 1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験をもとに金の第一人者として素人にも分かりやすく、独立系の立場からポジショントーク無しで、金市場に限らず国際金融、マクロ経済動向についても説く。
ブログは「豊島逸夫の手帖」http://www.mmc.co.jp/gold/market/toshima_t/index.html
ツイッター(http://mobile.twitter.com/search?q=jefftoshima)ではリアルタイムのマーケット情報に加えスキー、食べ物など趣味の呟きも。日経マネーでは「現場発国際経済の見方」を連載中。日本経済新聞出版社や日経BP社から著書出版。業務窓口は jefftoshima@hyper.ocn.ne.jp

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