2018年6月25日(月)

新開発のセメント材で世界最高強度を実現

2015/6/10付
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日経コンストラクション

 太平洋セメントは、型枠に流し込んで世界最高強度の硬化体を成型できるセメント材料を開発した。圧縮強度が平均464N/mm2(平方ミリメートル)となるセメント硬化体の作成に成功したという。

 近年、大手ゼネコンは、圧縮強度が200~300N/mm2程度の設計基準強度を持つ超高強度コンクリートの実用化を進めてきた。今回の技術では、これを大幅に上回る強度を実現した。

太平洋セメントが開発したセメント材で作成した超高強度のセメント硬化体。400N/mm2以上の圧縮強度を実現している(写真:日経コンストラクション)

太平洋セメントが開発したセメント材で作成した超高強度のセメント硬化体。400N/mm2以上の圧縮強度を実現している(写真:日経コンストラクション)

 開発した材料は、セメント、シリカフュームに、これまでコンクリートの分野ではほとんど用いなかった無機材料の微粒子を加えたものだ。セメントやシリカフュームなどで構成した材料の混合物に残った微小な隙間を埋めて、より高密度の構造を実現する。硬化体は細骨材と水、セメントに無機材料の微粒子などを加えた材料を混ぜてつくる。

 新たに加えた材料は、セメントなどと混合した際により高密度となるような物性を粉体工学理論に基づいてシミュレーションではじき出した後、密度や形状といった特徴が合致する物質を探し出した。コンクリート製造とは異なる分野において使われている物質だという。

■脱型後に吸水させる

 高強度を発現する硬化体は、以下の手順でつくる。まずは、骨材やセメント、新たに加える微粒子などを混ぜ合わせ、型枠に流し込む。

 これまでにも海外では、高温加圧成型が可能な装置を使って600N/mm2クラスの圧縮強度を持つコンクリート材を作成する実験室レベルの技術開発に成功した例があった。しかし、この方法は任意の形状での成型が難しく、建設分野での実用性に乏しかった。

 型枠に流して1、2日後に脱型した後は、数十分程度の吸水処理を施す。少ない水分で練り混ぜる材料なので、硬化体の外側から内部に水を入れることによって、水和反応を促進できる。

 吸水処理には、硬化体を水に入れた後、容器を真空引きする方法と沸騰させてから冷ます方法とがある。いずれも、吸水効果による強度向上を確認している。

 吸水させた後は、90℃での蒸気養生と180℃での加熱養生を行う。熱エネルギーを加えて反応を促進させる。こうした吸水処理などについては、既存のコンクリート製品工場に存在する高温高圧容器や熱温水水槽などの活用を念頭に置いている。

■維持・補修分野で活用

 開発した材料は、強度が極めて高い分、軽量化を図れる。さらに、今後の検証が必要ではあるものの、密実な構造という点を踏まえると、長期耐久性も期待できる。

 建設分野ではまず、超高層ビルや長大橋などのプレキャスト材としての活用が考えられる。さらに、軽量で高強度という特性を持つので、既存構造物の補修や補強への応用を図りやすい。建設当初の設計仕様や劣化の進行などによって、既存構造物の荷重条件が厳しい場合は少なくないからだ。

 材料の価格は、同社が販売している超高強度繊維補強コンクリートのダクタルに比べて、大幅に高くならない水準を目指しているという。

(日経コンストラクション 浅野 祐一)

[ケンプラッツ 2015年6月10日掲載]

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