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20年東京五輪の「金の卵」 飛び込み・板橋美波(上)

昨年の日本選手権を史上最年少で制し、五輪の飛び込み競技で日本勢初のメダル獲得の期待がかかるのが、高校1年生の板橋美波(JSS宝塚)だ。20歳で迎える2020年東京五輪の「金の卵」は、今夏にロシア(カザニ)で開かれる世界選手権に高飛び込み、3メートル板飛び込みの2種目で代表入り。サクセスストーリーの第一歩を踏み出すつもりだ。

世界の女子選手で板橋にしか飛べない大技を2つ持っている

男子顔負けのジャンプ力と回転力

身長151センチ、体重45キロと小柄ながら、その肉体には大きな可能性が詰まっている。日体大時代にともに柔道部に所属した両親から受け継いだ身体能力を象徴しているのは、スケート選手のように隆々とした太もも。体のバネを生かしたジャンプ力と鋭い回転力が最大の持ち味で、JSS宝塚コーチの馬淵崇英(すうえい、51)は「回転力は女子の想像の範囲を超えていて、男子のトップ選手にも引けを取らない。ここまでの女子選手は見たことがない」と素質にほれ込む。

弾力性のある板の反発力を利用して跳ね上がる3メートル板飛び込みは、演技の難易度で差が付きづらく、どうしても大型選手に有利になりがち。板橋が得意とし、主戦場にするのは高さ10メートルの固定台から演技を繰り出す高飛び込みだ。この種目では現在、世界の女子で彼女にしか飛べない大技を2つ持っている。

「前宙返り4回半抱え型」。3回半までが限界といわれる女子にあって、この技を昨年6月の国内大会で初めて披露した。その時は入水に失敗したが、同年8月の全国JOCジュニアオリンピックカップでは鮮やかに成功。90点台の高得点をたたき出した。馬淵は「練習でも普通に飛べるようになってきた。美波にとって非常に難しい技ではなくなってきている」と自信をのぞかせる。

ロンドン五輪なら「銀」相当の高得点

もう一つの"隠し玉"とも呼べる存在が、今は誰も挑んでいない「後ろ宙返り3回半えび型」だ。数年前には外国人選手が飛んだことがあるものの、膝を曲げずに両足をそろえ、体を腰から折る「えび型」は回転力を生み出すのが難しい。板橋も「まだ実戦で使い物になるかどうか……」と手応えを得るまでには至っていないが、日々の練習での成功率は上がっている。

演技の得点は、全体としての美しさや技術を見る採点に、難易度を掛け合わせて算出される。難易度は前4回半が3.7、後ろ3回半が3.6といずれも女子では最高ランク。優勝した6日の日本室内選手権高飛び込みでは、前4回半を完璧に決め、5本の演技の合計点で日本女子初の400点超えをマーク。ロンドン五輪なら銀メダルに相当する高得点を出した。

板飛び込みに専念していた板橋が、高飛び込みを本格的に始めたのは中学1年の冬。その後2年余りで急成長し、馬淵も「最初に出会ったときは全然、特別な能力があるとは思わなかった」と驚く。ダイヤモンドの原石は初めからまばゆい輝きを放っていたわけではなかった。

(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊6月8日掲載〕

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