2018年9月21日(金)

世界初の全線「架線レス」 台湾に次世代路面電車
建設ITジャーナリスト 家入龍太

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2015/6/19 6:30
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 低床で乗り降りしやすいLRT(次世代路面電車)の導入を検討する自治体が日本でも増えているが、台湾・高雄市で建設中のLRTは、全線にわたって架線がないのが特徴だ。軌道敷の80%には緑化が施され、駅舎も緑に覆われたデザインを採用するなど、景観や環境に配慮した設計になっている。従来の路面電車とは異なるLRTについて合意形成を行うため、高雄市政府は3Dやバーチャルリアリティー(VR)を活用した動画を作り、ネット上で公開している。

高雄で建設中のLRT路線図。緑色の区間が第1期工事(資料:高雄市政府)

高雄で建設中のLRT路線図。緑色の区間が第1期工事(資料:高雄市政府)

 台湾第2の都市・高雄で市内をぐるりと囲むように走る、全長22.1kmのLRTの建設工事が行われている。そのうち、海側を走る8.7kmの第1期工事区間は現在、急ピッチで工事を行っており、2015年末に開業する予定だ。

■秘密は蓄電装置にあり

 このLRTには大きな特徴がある。電力で走る電車にもかかわらず、全線にわたって駅間には架線がないことだ。

 その秘密は、車両に搭載された「キャパシター」という蓄電装置にある。実は、各駅には車両の停車スペースの上にごく短い架線が取り付けてあり、停車するたびにパンタグラフを上げて架線に接触させる。

 そして停車中の20~25秒という短時間でキャパシターに充電し、次の駅まで走行する電力を車両に蓄えるという仕組みだ。充電が終わったら、またパンタグラフを下げて走行を続ける。

[左]完成した駅で試験中の車両。軌道上には架線が見当たらない
[右]各駅にはごく短い架線が設置してあり、停車中にパンタグラフを上げて車両のキャパシターに充電する(写真:いずれも家入龍太)

[左]完成した駅で試験中の車両。軌道上には架線が見当たらない
[右]各駅にはごく短い架線が設置してあり、停車中にパンタグラフを上げて車両のキャパシターに充電する(写真:いずれも家入龍太)

 また、走行中にブレーキをかけるとモーターが発電し、その電力(回生電力)をキャパシターに充電できるので省エネにも貢献する。

 このLRTシステムは、スペインのCAF製のものだ。高雄市政府捷運工程局のチーフエンジニア、シ・メイメイ氏は、「一部区間で架線レスにしたLRTの例は他国でもあるが、全線にわたって架線をなくしたのは高雄市が世界で初めて」と胸を張る。

架線レスLRTの仕組み。1.キャパシターに満充電して駅を出発する、2.駅間を走行するときは、車両に搭載したキャパシターの電力を使う、3.ブレーキをかけるとモーターが発電し、その電力をキャパシターに回収して再利用できる、4.駅に到着するとパンタグラフを上げてキャパシターを再充電する(資料:高雄市政府捷運工程局)

架線レスLRTの仕組み。1.キャパシターに満充電して駅を出発する、2.駅間を走行するときは、車両に搭載したキャパシターの電力を使う、3.ブレーキをかけるとモーターが発電し、その電力をキャパシターに回収して再利用できる、4.駅に到着するとパンタグラフを上げてキャパシターを再充電する(資料:高雄市政府捷運工程局)

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