2018年7月21日(土)

学生も企業もすっぴんに 「変わった採用」の魂胆

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2015/6/4 6:30
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 初めての就職活動は分からないことだらけ。直接企業に質問しづらいことも多いし、口コミ情報がどこまで信用できるかも不安だ。そんな悩みを解決する「就活探偵団」。就活生の疑問に答えるべく、あなたに代わって日経記者が企業に突撃取材します。

 「風変わりで斬新な採用をしている企業に興味を引かれます。面接をなくした例さえ聞きますが、きちんと適性や能力を評価できているのでしょうか」

 裏口採用、焼き肉接待――。2016年度も個性豊かな採用スタイルが次々と登場し、奇抜さもエスカレートしている。質問を受けて現場に急行した。

■「裏口採用」9コース

 産地直送の肉や魚を売りに全国で店舗数を広げている居酒屋チェーンの「塚田農場」。同店を運営するエー・ピーカンパニーは出店拡大に合わせて採用数も増やしている。大手のワタミをはじめ外食業界がいわゆる「ブラック問題」でゆれる中、学生の人気を集め、16年卒の採用は前年比3割増の110人に増やす予定だ。そのエー・ピーカンパニーが、今春から選考のひとつに「裏口ルート」の枠をつくった。「裏口採用」の門をたたけば、最短プロセスで最終面接に臨めるチャンスがあるという。裏口といえば、コネとか縁故など後ろ暗いイメージがあるけれど、実際どうなのだろう。

実際に「裏口採用」を公言している

実際に「裏口採用」を公言している

 学生は一定の条件や資格を満たせばエントリーできる。「料理」、「酒」、「おもてなし」など9つのコースから自分に合ったものを選ぶ。2年以上の調理経験や接客コンテストへの参加経験だけでなく、学生時代のキャリアを特別視して、「ゲタ」を履かせてくれる仕組みだ。

 裏口ルートといっても特別なプロセスがあるわけではない。鮮魚に対する特別な思い入れ、現場でのチーム運営、飲食店が進むべきビジョンなどのテーマを与えて、プレゼンをしてもらうのが唯一の課題だ。

 九州の女子学生、松田萌子さん(仮名)は、「酒」ルートにエントリーした。テーマは「好きな酒と店」。若手の採用担当者とのマンツーマンによる一発勝負だ。

 「私は日本酒に目がなく、利き酒などを楽しむセミナーにも足を運びます」、「接客やサービスの仕事に興味があり、ホテル業界を志望しています」と身ぶり手ぶりを入れてアピールする。真剣度合いが全身から伝わってくる。

 人事担当の女性社員は、「東京・日本橋にある店舗では日本酒に力を入れています。蔵元とのコラボレーション商品をつくっていて、あなたの能力を発揮できる場がありますよ」と応じた。初対面とは思えないほど意気投合して議論が盛り上がった。松田さんはこの直後、執行役員との最終面接をへて、内定にこぎつけた。

 現時点で内定を出した82人のうち「裏口採用者」はすでに15人に上る(5月25日時点)。「裏口」の応募者に記念受験はまずいない。会社側が求める人材を効率良く集めて、能力を見極められるという。

 ガクチカ――。就活生の間で流通するこの言葉は「学生時代に力を入れたこと」の意。一種の符丁のようになっているのは、どこの会社に行っても聞かれる項目だからだ。自己PRや志望動機などもそう。こうしたマニュアル的な面接から脱して、企業も就活生も「すっぴん」で臨む、したたかな採用が増えている。

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