2019年4月23日(火)

知られざるAOL、買収決断したベライゾンの思惑

(1/2ページ)
2015/6/4 6:30
保存
共有
印刷
その他

米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズがネット大手AOLを44億ドル(約5450億円)で買収した。AOLといえば、1980~90年代に「パソコン通信業者として使っていた」として、その名前に懐かしさを覚える読者は多いはず。だが、今、どのような事業を手掛けているのかはあまり知られていない。現在の姿は、電子メールやインスタント・メッセージ(IM)の代名詞的存在だった当時の姿とは大きく異なる。米国最大の携帯事業を傘下に抱える「米通信の勝ち組=ベライゾン」が欲しがったAOLとはどんな企業なのか。その最新の姿を追った。

■ネット広告で稼ぐAOL

現在でもダイヤルアップ接続などの形でAOLを有料で利用している会員が、3月末時点で全米に215万人存在する。だが、こうした有料会員から徴収するメンバーシップ収入はAOLの総売上高の2割超にすぎず、縮小傾向が続いている。代わりに、残りの約8割の収入を支えているのがネット広告の分野だ。

ベライゾンがAOLに注目したのも、このネット広告の分野で独特の存在感を見せ始めているからだ。これまでベライゾンの主な収入源は、携帯電話とインターネットのブロードバンド(大容量)接続の利用者から得る通信料収入だったが、AOLを傘下に収めることで収入源を多様化できる。これからは、人々がネットを使えば使うほどデータ通信料収入が増えるだけでなく、ネット広告収入も増えるというワケだ。

AOLがネット広告収入を稼ぐ方法は2つある。1つ目は、自社が抱えるサイトや独自製作のネット動画の広告スペースを販売して、企業から広告収入を得る方法だ。AOLは、2011年に買収した米ニュースサイト「ハフィントンポスト」を筆頭に、IT(情報技術)業界情報の「テッククランチ」やハイテク機器情報の「エンガジェット」、映画情報の「ムービーフォン」などの人気サイトを傘下に抱える。また最近は、ハリウッドの有名俳優スティーブ・ブシェミ氏やジェームズ・フランコ氏などを採用した独自の動画コンテンツの製作にも力を入れる。充実した独自コンテンツの提供を通じて、安定した読者層や視聴者層を獲得することに成功しており、こうしたコンテンツに付属する広告スペースをより高価な価格で販売できるようになる可能性を秘める。

広告収入とは一旦話がそれるが、AOLが独自の動画コンテンツ製作に注力していることもベライゾンがAOLに魅力を感じたもう一つの理由となった。米国では、最近、若者層を中心に月額30ドル以上かかる有料テレビを解約して、月額10ドル以下のネット動画配信サービスに切り替える動きが盛んになっている。ベライゾンはこうした動きに対抗するため、現在、ネット配信に特化した動画配信サービスを準備中で、AOLが抱える独自コンテンツ製作のノウハウが新サービス立ち上げに大いに役立つとみられている。

  • 1
  • 2
  • 次へ

春割実施中!無料期間中の解約OK!
日経電子版が5月末まで無料!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報