2018年1月19日(金)

駆ける魂

フォローする

新エース、大きな飛躍 フィギュア・宮原知子(上)

2015/6/6 6:30
保存
共有
印刷
その他

 2013~14年のソチ五輪シーズンを最後に、日本の銀盤を長らくけん引してきたスケーターが、続々と現役生活に別れを告げた。高橋大輔や織田信成、安藤美姫に鈴木明子――。そして先ごろ復帰を表明した浅田真央(中京大出)も14~15年は休養した。18年平昌五輪へ向けて、女子を中心に「フィギュア大国」の行く末が案じられていた中、「新エース」として大きな飛躍を遂げたのが宮原知子(大阪・関大高)だ。

天才肌ではなく、器用でもない

 昨年10、11月のグランプリ(GP)シリーズで2戦とも初の表彰台(3位)に立つと、年末の全日本選手権では初優勝。3月の世界選手権はショートプログラム(SP)、フリーとも自己ベストを更新、日本女子では浅田以来となる初出場での銀メダル獲得。4月の世界国別対抗戦はフリーの自己ベストを再び更新して、充実の1年を締めくくった。

 「自信を持って『平昌五輪に行きたい』と言えるくらいにはなったかな」「エースは意識したことはないけど、言われる分しっかり結果を出さないといけない。地位にふさわしい演技をしたい」。控えめな性格の17歳に確かな自信と自覚が芽生えてきた。

 天才肌ではなく、器用でもない。身長148センチと体格に恵まれているわけでもない。「世界選手権に出た女子選手の中で、宮原の身体能力は下から数えた方が早い」とコーチの田村岳斗(やまと)は断言する。だが、こう続ける。「その中でメダルに届いたのは、技術も精神力も練習で磨いていったからだと思う」

 練習の虫。「練習でちゃんとできていないと、試合でできる自信がつかない。あきらめたくない気持ちもある」と宮原。練習をサボったことは一度もなく、手を抜いたことさえないという。昨季は右足甲の関節炎を患い試合の棄権も取り沙汰されるほどだったが、氷上に立ち続けた。来る日も来る日も自分が納得いくまで練習に明け暮れる。

「フリー後半も疲れない」スタミナ

 田村が「人の動きを見てすぐにある程度コピーできる子がいるけど、彼女は100回やってやっと同じくらい。でも100回でも200回でもやる」と言えば、コーチの浜田美栄は「30年以上教えているけど、あんなに謙虚に努力する子はいない。練習する姿を見て涙が出てくる」。真摯な姿勢が周囲の胸を打つ。

 コツコツと汗を流し続けたことで武器も生まれた。宮原が「フリーの後半になっても疲れない」と話す強靱(きょうじん)なスタミナだ。胸突き八丁の演技後半に、高難度のジャンプを組み込む攻撃的なプログラムを可能にしている。

 安定感に磨きがかかったジャンプ、成長した表現力、大舞台でも動じない勝負度胸――。人並み外れたたゆまぬ努力が、昨季の結果となって花開いた。宮原は試合前や演技中に、いつも自らに言い聞かせている。「今まで練習できっちりやってきたから絶対に大丈夫」と。

(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊6月1日掲載〕

「スポーツ」のツイッターアカウントを開設しました。

駆ける魂をMyニュースでまとめ読み
フォローする

日経電子版が2月末まで無料!初割のお申し込みは1月31日まで!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップスポーツトップ

フィギュアスケートのコラム

駆ける魂 一覧

フォローする
人懐こい彼の周囲は笑顔が絶えない

 故郷スペインでたっぷり1カ月過ごし、ハビエル・フェルナンデスは8月初旬、カナダの練習拠点であるトロント・クリケット・スケーティング&カーリングクラブに戻った。
 来年2月には平昌五輪がある。羽生結弦ら …続き (2017/8/27)

選手個人のリズムを理解したコーチ陣の計画に従って練習すると、試合前に不安にならないという

 トロントの冬は寒い。マドリードっ子のハビエル・フェルナンデスは自宅から徒歩10分のリンクに行くのさえつらい。「へい、乗ってけ」。練習開始時間が同じ日はコーチのブライアン・オーサーが車で拾ってくれる。 …続き (2017/8/27)

「すべきことをすれば表彰台に乗れる」と話す

 来年2月の平昌五輪は、スペインの雄ハビエル・フェルナンデスにとって3度目の五輪になる。
 2010年バンクーバー五輪は14位。まだ技のレベルが足りず、上位を狙えないと分かっていた。選手村など五輪の雰囲 …続き (2017/8/27)

ハイライト・スポーツ

[PR]