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デジワザNAVI 依頼者のチェックは3回受けよ 評価される資料作り

外資系/コンサルの出世する資料作成術(下)

日経パソコン
ピントのずれたビジネス資料は、どんなに時間を費やして作成しても誰からも評価されない。資料作りには正しい方法論がある。その作法を、外資系コンサルティング企業で数多くのコンサルティングを手掛ける吉澤準特氏が解説する。今回は、資料作りを3フェーズに分けることで、作業のムダを最小限に抑える方法を紹介する。

前回説明したように、ゲス(Guess)によって相手の意図するところと異なる方向に努力してしまうと、それだけ資料作りの手間が増える。そうした作業のムダを最小限に抑えるにはどうしたらよいか。

図1に示すように、資料作成を「スケルトン」「ドラフト」「フィックス」の3フェーズに分けることを考えよう。その上で、各フェーズで資料作成の依頼者から適切なレビューを受けることが必要になる。

図1 資料作成の3フェーズ

3フェーズに分割して手戻り避ける

スケルトンとは、資料のコンテンツを「目次レベル」+「概要説明レベル」で作成したものだ。スケルトンレビューの観点は、資料の方向性になる。文章を列挙した程度なので、このレビューでどんなに多くの修正指示があっても、それは大した手戻りにはならない。むしろ、ドラフトフェーズ以降の大きな手戻りを未然に防いでくれる。

ドラフトとは、スケルトンに沿って資料を一通り作成したものだ。ドラフトレビューの観点は、資料内容に対する納得感の有無になる。スケルトンの資料に対して、章・節・項にコンテンツを肉付けしていき、図表も追加する。

図表は作成途中でも構わないが、最終的にどのような図や表にするのかイメージできる程度には作り込む。図表をあまり使わない人にとっては、普段作成している資料の完成形とほぼ遜色ないレベルになるだろう。

フィックスとは、ドラフトを更新して第三者へ見せる品質に仕上げたものだ。フィックスレビューの観点は、文章や図表の構成・色使いなど資料の読みやすさになる。ドラフトの資料に対して、資料を読む相手が理解しやすいように、キーメッセージや図表内で注目させる箇所を強調したり、白黒印刷時にも読みにくくならないように色の濃淡・グレースケールを調整したりする。

また、電子版資料を相手へ送る場合に、画面表示時や印刷時には見えない部分に余計な情報が含まれていないかチェックする。ここで受けた指摘を全て反映したものが最終版になる。

スケルトン→ドラフト→フィックスの各フェーズで最低1回ずつ、計3回のレビューを資料作成の依頼者から必ず受けるようにしよう(図2)。これによって、資料作成の依頼側と作成側の認識ギャップをこまめに解消でき、手戻りの発生を最小限に抑えられる。

図2 「3段階レビュー」で依頼側との認識ギャップをこまめに解消する

レビュー3回は最低水準

資料の難易度が上がるほど、依頼側と作成側で生じる認識のずれは大きくなる。これを防ぐために、難易度の高い資料はレビューの回数を増やすことが望ましい。

図3に示す通り、難易度は「(A)あなたをよく知らない人の割合」と「(B)相手の地位」の掛け合わせによって変わる。AとBを感覚的に「低」「中」「高」と3段階に区分すると、3×3の9マスになる。

図3 レビュー回数の目安

これを左下から順に「易」「中」「難」の3エリアに分類し、「易」から1つ上がるごとに、スケルトン・ドラフト・フィックスの各フェーズで推奨されるレビュー回数が増えると考えてもらいたい。

すると、スケルトン・ドラフト・フィックスのそれぞれで1回ずつレビューをするのはあくまでも最低回数であって、難易度がアップすればより多くのレビューが必要になることが分かるだろう。最大で3フェーズ×3回=9回のレビューをすることもある。

一般的な水準のビジネスパーソンであれば、(A)と(B)の段階分けを次のように考えてみると、具体的なイメージを持てるだろう。

(A)低:ターゲットと親しい
(A)中:ターゲットとの面識はあまりないがほかの参加者とは親しい
(A)高:親しい参加者はいない

(B)低:直属の上司・先輩
(B)中:部門長」または「(B)中:顧客(担当レベル)
(B)高:役員以上」または「(B)高:顧客(部門長レベル)

あなたが営業部門の担当社員だとして、以前から付き合いのある顧客の担当者レベルに提案書を見せるなら、「(A)低×(B)中」となり、すなわち「易」レベルに該当すると捉える。これなら、スケルトンからフィックスまで、フェーズごとに各1回のレビューをすれば十分だろう。

顧客側担当者が後任へ引き継いだ直後の打ち合わせで資料を提示するのであれば、(A)が中レベルに該当するため、難易度が「中」レベルになり、各フェーズのレビュー回数は2回ずつ行うという結論になる。後任とはいえ、新担当者から値踏みされながら資料を説明するのだから、間違いを指摘されないぐらいの完成度に仕上げるレビューは必要だ。

ほかにも、社内のプロジェクトメンバーという立場にあって、プロジェクトリーダーから役員向け説明資料の作成を求められたのなら、(A)高×(B)高=難レベルになる。役員への説明資料なら、可能な限り手間をかけて資料の完成度を高めなければいけない、というのは感覚的に理解できるだろう。

1回のレビューに時間はかけない

レビューという行為は、レビューしてもらう相手の時間を、自分のために使わせるということでもある。だから、枝葉の内容にまで深く念入りにレビューしてもらうべきではないし、レビューする立場の人間は、資料の要点に絞って修正指摘をすべきだ。

ページごとに長短はあれども、平均的にA4用紙1枚当たり3分を目安としたい。10ページの報告書であれば、最大30分。同じフェーズでレビューを重ねる場合は、前回の7 割に収まるくらいを上限として、レビュー時間を短縮しよう。

吉澤準特(よしざわ・じゅんとく)
 外資系コンサルティングファームにて専門領域における日本支社の実務責任者を務め、ビジネスからシステムまで幅広くコンサルティングを手掛ける。プロジェクトマネージャーとして、数十~数百億円規模のシステム運用改善、あるいは組織改革、人材育成に携わることも多い。ITサービスマネジメントの世界基準である、ITIL Managerの有資格者。

(日経BPムック『外資系/コンサルの出世する資料作成術』を再構成)

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