独サッカー、ホッフェンハイムが起こすメンタル革命
スポーツライター 木崎伸也

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2015/5/29 6:30
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今やサッカーは「総合力」の時代だ。ピッチ内でサッカーの技術を磨くだけでなく、ジムにおけるフィジカルトレーニング、データ分析、食事、睡眠など、ピッチ外の取り組みが勝敗を左右するようになってきた。

そのひとつが、メンタルトレーニングだ。たとえばドイツ代表が2014年ワールドカップ(W杯)で優勝したとき、メンタルトレーナーのハンス・ディーター・ハーマンが選手たちをサポートしていた。

ゴムボートで海に出て冒険家から話

ハーマンは常々「ミスから学ぶ重要性」を説いており、ドイツが準決勝でブラジルに7-1で快勝したときも、その教えが後押しのひとつになった。

ドイツはその約2年前、W杯予選のスウェーデン戦で苦い経験をしていた。4-0にリードを広げながら、そこから4失点して引き分けてしまったのだ。だからこそブラジル相手に4-0になっても油断せず、FWのクローゼが「さらにゴールを狙おう。でも、得点が生まれても絶対に喜んではダメだ」と注意を呼びかけたのだった。

大会前、ドイツは冒険家のマイク・ホルンを合宿地に招いた。極限状態に置かれた人間の心理を話してもらうためだ。舞台設定にもこだわり、選手たちはライフジャケットをつけてゴムボートで海にこぎ出し、ホルンが所有するヨットに乗って話を聞いた。日本だったら海に落ちることを心配する声が上がるかもしれないが、彼らはチームとしての共通体験を優先したのである。

大会後、ハーマンはこう語った。「決勝の舞台に立ったとき、『人生でW杯に優勝できる唯一のチャンスだ』と考えられる選手と、『悪いプレーをしたら、世界中に見られてしまう』と考えてしまう選手がいる。前者の思考を育むことが大事なんだ」

コンピューターゲームでトレーニング

かつてドイツサッカー界では、気持ちを高めるのは自己責任で、メンタルトレーナーは不必要と考えられていた。

その既成概念を打ち破ったのが、04年にドイツ代表監督に就任したユルゲン・クリンスマンだ。ハイデルベルク大学のスポーツ心理学者だったハーマンを抜てきして、メンタルトレーニングを一任。ドイツが自国開催の06年W杯で3位に躍進すると価値観が一変し、ブンデスリーガのクラブが次々にメンタルトレーナーを導入した。

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