2018年6月23日(土)

夏に自動運転機能追加 テスラは「クルマ版iPhone」
宮本和明 米ベンチャークレフ代表

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2015/5/29 12:00
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 事実、Teslaはサンフランシスコからシアトルまで、Autopilotの試験を展開中である(下の写真、イメージ)。Tesla車のオーナーとしては、Autopilotで手を離してもいいのかどうか気になるところで、2015年夏までに明確な法令が示されるのかどうかに、注目が集まっている。

出典: Tesla

出典: Tesla

■「人間の運転を禁止すべき」とMusk氏

 Tesla CEO(最高経営責任者)であるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、自動運転技術に対する法令整備の遅れに対し、建設的な提言をしている。自動運転車を“Shadow Mode”で稼働させ、法令整備を進める案だ。

 実際に路上で運転するのではなく、自動運転車をソフトウエアでシミュレーションし、様々な状況を作り出す。ここで自動車運転車の特性を科学的に理解する。事故の起こる統計情報を得て、客観的なデータに基づき、自動運転車の関連法令を定める、という提案である。これは、市場のムードに影響されるべきでないという主張でもある。

 米国では自動運転車に対し、ある種の恐怖感を抱いている人が少なくない。無人のクルマが街を走り回るのは薄気味悪いという感覚である。これらの意見に押され、政府は自動運転車への対応について保守的な姿勢を保っている。

 Musk氏は、自動運転車は人間が運転するよりもはるかに安全で、将来は人間が自動車を運転することを禁止すべきと主張している。自動運転車はエレベーターで、ボタンを押すとその階まで連れて行ってくれる。「エレベーターガールは不要だ」という主張である。運転という苦痛から解放され、自動運転車の登場を待ち望んでいる人は少なくない。

 その一方で、運転が好きな人も多い。ドライブの楽しみを奪うことに対し、反対意見が出ることは必至である。特に、米国人は自動車の運転を憲法で保障された権利と認識し、自由に移動する権利をことのほか重要と考える。

 ただ、自動運転車の登場で社会通念は大きく変わる可能性がある。自動運転車が運行を始め、格段に安全に走行できれば、社会の評価が大きく向上する。同時に、人間のドライバーに対しても、同等の安全水準が求められる。

つまり、運転免許証取得の基準を強化するというアプローチも、一つの選択肢となる。日本ではもともと運転免許書の取得に関して厳しい試験が課されるが、車社会の米国では、ほぼ誰でも合格できる。Musk氏の発言は、交通事故を減らす手段を提言したもので、技術の役割が改めて問われている。

■自動車製造はもはやソフトウエア産業

 TeslaのKim氏は説明の中で、Tesla車の特徴はそのシンプリシティ(単純さ)だと繰り返し強調した。下の写真はTeslaのスケルトンで、赤色の部分がモーターを示す。バッテリーは銀色のパネルの下に配置される。トランスミッションやドライブシャフトなどはなく、シンプルな構造となっているのが視覚的に分かる。

出典: Tesla

出典: Tesla

 ハードウエアの複雑性を排除する一方で、ソフトウエアの比重がぐんと増している。Teslaは車体という標準プラットフォームで、ソフトウエアを開発しているというイメージに近い。試乗を通じて、Software-Defined Carと言われる理由をはっきりと理解できた。

宮本和明(みやもと・かずあき)
米ベンチャークレフ代表 1955年広島県生まれ。1985年、富士通より米国アムダールに赴任。北米でのスーパーコンピューター事業を推進。2003年、シリコンバレーでベンチャークレフを設立。ベンチャー企業を中心とする、ソフトウエア先端技術の研究を行う。20年に及ぶシリコンバレーでのキャリアを背景に、ブログ「Emerging Technology Review」で技術トレンドをレポートしている。

[ITpro 2015年4月9日付の記事を基に再構成]

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