/

東京五輪へバリアフリー設計指針見直し

日経アーキテクチュア

国土交通省は「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(建築設計標準)」を改訂する。2020年東京五輪へ向けて劇場や競技場でのバリアフリー化を進める。2015年5月1日、追補版の案を公表。同年6月14日まで意見を募集している。追補版は7月に正式決定する予定だ。

同省住宅局建築指導課の藤原健二課長補佐は、「障害者に優しい五輪施設を計画することが最大の狙い」と語る。競技場の設計業務発注がピークを迎えるのに合わせ、建築設計標準を見直すことにした。

車椅子用の観覧席の数や配置などを設定

建築設計標準は、建築主や設計者などに向けて、バリアフリー設計の考え方や基準の適用方法のほか、優れた設計事例を記載している。建物を劇場・競技場に限定した追補版では、観覧席の設計に重点を置き、新たな計画のポイントを記載している。

客席・観覧席の設計基準。車椅子利用者のための観覧席は、前後の客席や観覧席の位置、高低差を考慮し競技スペースや舞台へのサイトラインを確保する(資料:国土交通省)

例えば、車椅子使用者のための観客席数の目安を総客席数の0.5~1%以上と具体的に定めたほか、サイトライン(可視線)の考え方を取り入れ、前列の人の頭または肩を越して舞台や競技場を見られるよう、高低差などへの配慮を促す。

車椅子使用者を対象としたバリアフリー設計についてはこのほか、様々な場所から観覧を楽しめるよう、車椅子用の観覧席を2カ所以上の異なる位置や階に分散して設置することなどを推奨している。

難聴者に向けた音声や画像による情報提供や、高齢者および視覚障害者に向けた案内表示などについても、より詳細に内容を記述した。

有識者や障害者団体の意見を反映

追補版の作成にあたり、国交省は2014年10月からバリアフリーデザインの有識者や日本身体障害者団体連合会、全国精神保健福祉会連合といった障害者団体から意見を聴取。2014年12月に「劇場、競技場等の客席・観覧席を有する施設の建築設計のあり方に関する検討委員会」(委員長:高橋儀平 東洋大学教授)を設置し、原案作成に向けた議論を進めてきた。検討委員会には有識者や障害者団体のほか、新国立競技場の設計を担当する日建設計や施工予定者の大成建設といった企業なども参加した。

追補版も従来の建築設計標準と同じくあくまでもガイドラインの位置づけで、法的な拘束力は無い。国交省は今後、新国立競技場を整備する日本スポーツ振興センターや五輪競技場を整備する東京都などに、新たな建築設計標準に沿った設計を呼びかけていく予定だ。

(日経アーキテクチュア 橋本かをり)

[ケンプラッツ 2015年5月18日掲載]

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連企業・業界

企業:

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン