サントリーホールが特定天井で初の大臣認定取得

2015/5/16付
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日経アーキテクチュア

サントリーホールディングスと鹿島は、サントリーホール(東京都港区)の大ホール天井の耐震化工事を実施し、特定天井の国土交通大臣認定を取得したと発表した。2014年4月に施行された国交省告示771号に基づく大臣認定としては国内初となる。認定は2015年4月13日に取得した。

サントリーホールの大ホールの断面。天井は特定天井に該当し、複雑な形状だったため大臣認定ルートで耐震性を検証、確保した(資料:サントリーホールディングス、鹿島)

サントリーホールの大ホールの断面。天井は特定天井に該当し、複雑な形状だったため大臣認定ルートで耐震性を検証、確保した(資料:サントリーホールディングス、鹿島)

特定天井とは、6m超の高さにあり、面積が200m2(平方メートル)超、1m2当たりの重さが2kg超などの条件をすべて満たす吊り天井を指す。特定天井は構造の安全性を検証、確保することが義務付けられている。サントリーホールの大ホールは、高さ3.5m~20.15m、面積1925m2、1m2当たり20kgで、特定天井に該当した。

特定天井の検証には3つのルートがある。1つは、天井部材の重さを1m2当たり20kg以下にしたり、ブレースで補強したりする仕様ルート。2つ目は、建物や天井の固有周期なども反映して水平震度を設定する計算ルート。3つ目は、仕様ルートや計算ルートに適合しない複雑な天井などに導入する大臣認定ルートだ。サントリーホールは天井の形状が複雑だったので、大臣認定ルートを選択。時刻歴応答解析で耐震性を検証した。

■天井を6つに分割して補強

耐震工事は現状把握、分割、補強の3ステップで実施した(資料:サントリーホールディングス、鹿島)

耐震工事は現状把握、分割、補強の3ステップで実施した(資料:サントリーホールディングス、鹿島)

改修作業は大きく3段階に分けて実施された。まず最初に、現地調査や施工図などを基に既存の躯体や天井部材、設備機器などを3次元でデータ化。設備ダクトや天井部材の取り合い部の干渉を検証した。次に、天井を6領域に分けて、領域の境界となる部分は仕上げ、下地とも切断。同じ領域内の天井は補強を一体化させるようにした。そして十分なクリアランスを確保することで、地震で揺れても天井同士が接触しないように工夫した。

天井を補強後の様子。既存吊り材で軸力、新設した耐震ブレースで水平力を受ける(写真:サントリーホールディングス、鹿島)

天井を補強後の様子。既存吊り材で軸力、新設した耐震ブレースで水平力を受ける(写真:サントリーホールディングス、鹿島)

最後の補強は、天井面から1.5m以内に補強用のぶどう棚(鉄骨製格子棚)を新設し、15m2以内に1カ所の割合で耐震ブレースを設けた。それにより、耐震ブレースで水平力を受け止め、既存の吊り材で軸力を受け止めるように、地震時にかかる力を分散できるようにした。

改修工事は13年8月から14年9月までほぼ夜間に実施し、コンサートの予定を1日も変更せずに完了した。設計と施工は鹿島、設計監修は安井建築設計事務所、永田音響設計が担当した。

サントリーホールは1986年に開館したコンサート専用ホール。サントリーホール広報部の越野多門部長は、「耐震性に問題があったわけではないが、年間約60万人の観客を迎える施設として、安全性を追求するため改修に踏み切った」と語る。鹿島の広報室は、「音楽ホールは天井の形状が複雑なケースが多く、耐震性の検証や改修の引き合いは多い。今回の経験を受注につなげていきたい」と話す。

(日経アーキテクチュア 菅原由依子)

[ケンプラッツ 2015年5月15日掲載]

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