2018年9月20日(木)

東京五輪、外圧を日本のスポーツ変える好機に
編集委員 北川和徳

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2015/5/22 6:30
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 男子バスケットボールのトップリーグの分裂状態がやっと解消する。来年秋に開幕する予定の新リーグに、対立していたNBL(ナショナルリーグ)側とTKbjリーグの全チームが参加を申請した。日本バスケットボール協会は川淵三郎氏を会長に人心を一新して再スタート。10年にわたって続いた根深い難題が、国際バスケットボール連盟(FIBA)に国際試合出場停止処分を科せられた途端、一気に解決へと動き出した。何度か「統合へ」と書きながら裏切られてきた立場としては、「これまでの争いはなんだったのか」とぼやきたくもなる。

FIBA、組織改革求めた真相は…

 今回、FIBAはリーグの統合以上に、日本バスケットボール協会の組織改革を要求した。改革を主導するタスクフォース(特別チーム)を編成、トップにサッカー界から川淵氏を招き、新体制となる協会執行部には国内のバスケット関係者を排除することまで強く求めたという。日本のバスケット界は国際的な信用をまったく失っていたということだ。

 釈然としない国内のバスケット、スポーツ関係者も少なくないだろう。国際試合出場停止はFIBAの持つ権限だから受け入れざるをえないが、協会人事の内容まで指図するごり押しぶりは“内政干渉”ではないか。日本のバスケットがどうなっても日本の問題。国際競技連盟(IF)がそこまで世話してくれなくても……。だが、FIBAも日本のバスケット界の将来を憂えるあまりに介入したわけではない。

 バスケットはサッカーに続く世界のメジャースポーツだ。五輪では1992年バルセロナ大会に米NBAのドリームチームが参加して以降、極めてビジネス価値の高い五輪競技となった。男子決勝は大会最終日の閉会式の前に実施され、国際オリンピック委員会(IOC)委員たちも観戦を楽しみにする。

 ところが、日本では60万人以上の競技者登録人口がありながら、マイナースポーツと揶揄(やゆ)されても仕方ない状況にある。2006年に日本で開催された男子世界選手権は巨額の赤字を出し、それがまた日本協会の混乱を招いた。そんな状況に直面しながら、競技団体の最大の資産であるトップリーグをまとめることもできず、男子代表チームはいっこうに強くならない。そんな国で5年後には五輪が開催される。放置すればバスケットの価値を損なうことにもなりかねない。アジアをバスケットビジネスの新市場として成長させたいFIBAにとって、日本の現状はとても看過できなかったのだろう。

15年前の体操協会の事件を想起

 外圧によって組織が一気に変革に進んでいるバスケット界を見て、15年前の日本体操協会での事件を思い出した。過去に男子団体で1960年ローマ大会から76年モントリオール大会まで五輪5連覇するなど、「体操ニッポン」の名をほしいままに金メダルを量産した競技も低迷した時期だった。2000年10月、2大会連続メダル0に終わったシドニー五輪後の常務理事会で、情けない結果とずさんな組織運営に激怒した当時の徳田虎雄会長が、自分も含めて全員を辞任させてしまった。

 体操協会は資金を寄付してくれるパトロンを歴代トップに招いていた。「体操のことはわれわれが分かっている。会長は金は出しても口は出さないで」というわけだ。だが、相手は現在も病床にありながら医療グループを運営し、息子の選挙違反事件などで物議を醸す超ワンマンの経営者。体操界という小さなコップの中での争いしか知らない人たちに御せる存在ではなかったのだろう。

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