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揺らぐユーチューブ支配、フェイスブックの動画力

インターネットではここ数カ月、フェイスブックがユーチューブよりも人気の高い動画投稿サイトになったと騒がれている。2014年8月の米国のデスクトップパソコンによる動画再生回数で、フェイスブックがユーチューブを上回ったからだ。フェイスブックは動画機能も強化している。最近では「プレイリスト」やページ内への「注目の動画」のモジュール整備など新たに改良された動画タブを導入したのに加え、フェイスブックの動画をウェブに埋め込めるようにした。これはマーケティング担当者にとって何を意味しているのか。

動画マーケティングを企画する際には、ユーチューブを見捨て、フェイスブックに走るべきなのだろうか。フェイスブックは台頭しているかもしれないが、ユーチューブで動画を共有するメリットも依然として多い。まさに戦略を見直す時期なのかもしれない。

ユーチューブ――「死」はあまりにも大げさ

フェイスブックが動画で新たな成功を収めているからといって、ユーチューブは時代遅れだと勘違いしてはならない。グーグル傘下にあるこの動画最大手のユーザーはなお10億人を超え、1日あたりの動画視聴時間は数億時間に及び、月間の動画再生時間は前年と比べて50%増えている。最も重要なのは、ユーチューブがなおグーグルに次ぐ世界第2位の検索エンジンである点だ。

検索を通じて新たな人に動画を見つけてもらいたいのなら、ユーチューブが依然として最適だ。(無償の)自然検索で見つけてほしい動画コンテンツは、ユーチューブのチャンネルにアップロードすべきだ。動画のタイトルや説明文、タグには、提供する会社や製品を見つけようとする際に人々が検索しそうなキーワードを盛り込まなくてはならない。そうすれば、ユーチューブ検索でもグーグル経由でも動画を見つけてもらいやすくなる。

強力なライバル、フェイスブック

ユーチューブは依然あらゆる動画マーケティング戦略にとって重要だが、フェイスブックの動画の急成長を有効活用する手段を理解しておくのは大事だ。調査ポータルの米ソーシャルベイカーズが今年発表したリポートでは、「フェイスブックのネーティブ動画(最初からフェイスブックへ投稿された動画)は他のどのタイプの投稿よりも閲覧率が高い」ことが示された。フェイスブックのユーザーは動画への消費性向が強いため、これを戦略に取り込めば写真やリンク、文字でのアップデートにこだわってばかりいるよりもコンテンツが多くの人の目に留まるようになる。

「平均オーガニックリーチ率(無料投稿で人々にリーチできる率)」 動画(Video)、テキスト(Status)、リンク(Link)、写真(Photo) 対象期間:2014年10月1日~2015年2月4日 データ:サンプルは4445のブランドページと67万件以上の投稿で構成

フェイスブックは動画の広告主にとっても人気の高いプラットフォームになっている。Mixpoによる最近のリポートでは、広告主や広告会社は動画広告の投稿先をフェイスブックに移しつつあることが明らかになった。動画キャンペーンを昨年展開したプラットフォームと、来年実施する計画のプラットフォームを尋ねた質問では、フェイスブックで動画広告を打つ計画があるとの回答がユーチューブを含むほかの全てのネットワークを上回った。

「広告主と広告会社の動画活用法:現在と将来」 フェイスブックで動画広告を打つ計画がある広告主は、他のどのネットワークよりも多い 黒 : 動画での広告キャンペーンや販促コンテンツを昨年配信 青緑:動画での広告キャンペーンや販促コンテンツを来年配信する計画 出典:Mixpoによる調査、2015年

フェイスブックはなぜ動画広告に向いているのか。まず、広告主(大手も中小も)は極めて具体的な消費者層をターゲットにしやすい。Mixpoのリポートでは、デジタル広告を手掛けるオムニコム・デジタルのジョナサン・ネルソン最高経営責任者(CEO)のコメントが引用されている。「アナリティクスや広告サーバーにつながった既知の情報をこれほど多く持っていれば、これまで誰も手掛けたことのない手法でメッセージのやり取りを始めることができる。これはマーケティングにおける極楽の境地だ」。ただし、広告主がフェイスブックを素晴らしいと感じる理由はターゲティングだけにあるわけではない――エンゲージメント(ファンからの継続的な反応)も一因だ。

ユーチューブは本来、検索エンジンの最適化と視聴回数の増加に役立つ。だがここ数年、マーケティング担当者や広告主にとって視聴回数はそれほど重要な指標ではなくなっている。ソーシャルメディアで動画広告を打つ際に最も重視する指標のランキング(Mixpoまとめ)では、視聴回数は5位だった。もっと重視されているのは、エンゲージメント、シェア数、コンバージョン(広告を見た顧客が起こす行動)、総再生時間だった。エンゲージメントとシェア数ではフェイスブックの方が大きなチャンスを提供している。これが動画キャンペーンでフェイスブックに目を向ける広告主が増えている理由だ。

「最も重視する指標」 回答者はソーシャルメディアで動画広告を配信する際、最も重視する3つの指標を選択 対話的要素を伴うエンゲージメント(Engagement with interactive elements)、シェア数(Shares)、コンバージョン(Conversions)、総再生時間(Total time spent watching)、視聴回数(Views)、クリック率(CTR)、クリック数(Clicks)、インプレッション数(Impressions)、該当なし(NA)、その他(Other)

では、動画マーケティング対決ではどちらに軍配が上がるのか。実は、ユーチューブとフェイスブックのどちらも効果的なオンライン動画戦略に欠かせない。動画マーケティング戦略の効果を最大化するには、双方のプラットフォームの強みを生かさなくてはならない。ユーチューブで潜在顧客に接触し、フェイスブックでコミュニティーをつくって交流すればよい。

by Brad Jefferson, Animoto

 ブラッド・ジェファーソン(Brad Jefferson)氏は米動画作成サービス、アニモト(Animoto)のCEOで共同設立者。06年にアニモトを共同設立するまでは、企業向けソフトウエア会社のオニックス・ソフトウエアに8年在籍した。同社では営業事業部長を務め、国内の営業エンジニアチームを率いていた。

(最新テクノロジーを扱う米国のオンライン・メディア「ベンチャー・ビート」から転載)

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