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1000の水田にセンサーネット IT農業を全国へ

2015/5/13付
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日経テクノロジーオンライン

 九州大学大学院農学研究院が主体の稲作経営・育成に関する研究組織「農匠ナビ1000コンソーシアム」と、スマート農業のベンチャー企業であるイーラボ・エクスペリエンスは、1000の水田(圃場)それぞれに設置したセンサー端末で構成するセンサーネットワークの実証実験を国内の4つの大規模農家で始めた。

 国内農業の代表的な手法である水稲栽培は、これまで主に技術指導によって改善が加えられてきたが、IT(情報技術)によるスマート化で安定した品質確保と生産コストの削減が可能なことを検証し、その成果を基に全国の稲作農家へ普及させる。

 農匠ナビ1000コンソーシアムは、農林水産省の予算によって農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター)が実施している「攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業(うち産学の英知を結集した革新的な技術体系の確立)」(2014~2015年度)の研究母体である。九州大学大学院農学研究院教授の南石晃明氏が代表として研究を実施している。生産コストの4割削減を目指す。

 水田における稲作では、水位と水温を天候や育成状況に応じて精密に管理することが求められる。農家は、高い品質表示基準を得るために、こうした水管理に栽培工程の2~3割もの時間をかけているという。耕作放棄地などを集約した大規模農家では、散逸している水田の水管理のための人件費が生産コストの増大を招く。比較的小規模な農家や兼業農家では、十分な管理ができないために品質が劣化してしまうこともある。

 そこでコンソーシアムでは、環境(気温、湿度、日照など)とともに水位や水温を測定するセンサー端末(フィールドサーバー)を各水田に設置し、水管理を市販の携帯端末などから一覧できるようにする手法を2016年3月までの約1年間にわたって検証する。

 たとえば数十分間~1時間に1回といった頻度でデータをインターネットサーバーに集約、携帯端末の専用アプリで集約したデータの履歴をグラフとして表示する。農家は水田の水位や水温が既定の範囲からずれていることを確認できる。センサー端末と携帯端末に搭載する専用アプリは、イーラボ・エクスペリエンスが開発したもの。

 ただし、国内の大規模農家が扱う水田は数百カ所になることがあり、こうした数百ノードのセンサーネットワークを現場で安定的に運営できることを確認した例はなかったという。実証実験では、センサー端末の配置やアンテナの大きさ、データ集約の頻度などを探る。無線の周波数帯域や通信方式については、これまでの実験から920MHz帯を使うことが良いと判断し、通信モジュールには「Wi-SUN」対応可能な富士通製品を独自方式で利用している。

 イーラボ・エクスペリエンスは、今回の実証実験に合わせて、水田に最適化したセンサー端末を製品化した。大手携帯通信事業者や農林水産省と全国の約6700人の技術普及組織と連携して、今回のセンサー端末を利用したスマート稲作の普及を進める狙いだ。

(日経テクノロジーオンライン 三宅常之)

[日経テクノロジーオンライン 2015年5月13日掲載]


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