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丸ごとレビュー 極薄6ミリタブレット「Venue 8 7000」を試す

フリーライター 竹内 亮介

厚さ6ミリのタブレット「Venue 8 7000」

デルの「Venue 8 7000」は、8.4型ワイドの有機ELディスプレーを搭載した小型タブレットである。特徴は、厚みが6ミリと非常に薄いこと。さらに、インテルの3Dカメラ「RealSense Snapshot Depthカメラ」を世界で初めて搭載していることだ。今回は、薄型でスタイリッシュなVenue 8 7000の使い勝手を紹介する。

小さなかばんにもスッキリ収納

Venue 8 7000は、2015年1月に米国ラスベガスで開催された家電とIT関連の展示会「2015 International Consumer Electronics Show」(CES)において、「2015 CES ベストオブイノベーションアワード」のタブレット部門を受賞した製品だ。日本では1月27日に発売が開始され、直販価格は4万8980円となる。

CPUは、主演算基を4個内蔵するインテルの省電力CPU「アトムZ3580」で、動作周波数は最大で2.33ギガヘルツ。メモリーは2ギガバイトで、内蔵ストレージは16ギガバイトだ。7~8型のタブレットとしては比較的性能は高く、後述するように高精細パネルを搭載しながらも画面描画の速度やタッチ操作の追従性は高い。

薄型設計で話題を呼んだ左のNexus7(2013年版、厚さは8.65ミリ)と比べても、さらに薄い

箱から出すと、確かに薄いことがよくわかる。普段使っている小さなバッグの中に入れてみたところ、内部のスペースは薄いメモ帳が一冊分増える程度で済む。バッグから取り出すときも、指でつまむようにして引き抜けばスッと取り出せた。本体の薄さは利便性に直結する。外出先でタブレットをバッグから取り出して利用する機会が多ければ、その便利さを実感できるはずだ。

きょう体の底面や側面などには、削り出しのアルミ素材をふんだんに使用しており、安っぽさはみじんも感じられない。有機ELのディスプレーは8.4型と比較的大型だが、額縁が狭いため横幅は124.4ミリに収まっている。売れ筋タブレットであるアップルの「iPadmini 3」は、画面サイズが7.9型だが横幅は134.7ミリ。画面サイズが大きいVenue 8 7000の方が、横幅が狭いのだ。

有機ELの美しいディスプレー

落ち着きのあるブラックを基調に、スタイリッシュなデザインを採用

片手できょう体の両脇をつかむようにして持つときも、iPad mini3より余裕がある。手のひらをいっぱいに広げる必要がないので楽だ。横幅114ミリの「Nexus7」(2013年版、米グーグル)に比べれば横幅はあるが、Venue 8 7000のサイズなら片手でつかんで持っても違和感はない。

左側面には電源ボタンと音量調節ボタンを装備
右側面にはSIMカードスロットのような形状のマイクロSDメモリーカードスロットを搭載

有機ELディスプレーの発色は、液晶方式とは一線を画す素晴らしい品質だった。最近は液晶パネルの品質が向上し、高精細タイプなら十分に美しいと感じられるが、2560×1600ドットの高精細な有機ELディスプレーの表現力は、そうした液晶パネルのレベルをはるかに超える。精細感、立体感、色の再現性の全てにおいて文句の付けようがない。ここ最近レビューしたタブレットの中ではダントツの表示品質だと感じた。

焦点距離を後から変更できるデプスモード

デプスモードで撮影した画面例。左上に2つのサムネイルが表示されているほかは、普通の撮影モードと変わらない

Venue 8 7000は、前面に1つ、背面に3つのカメラを備えている。このうち背面に装備しているのが3D対応カメラ(RealSense Snapshot Depthカメラ)だ。このカメラを使うことで、被写体との深度を記録できる。任天堂の携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」のような「立体写真を撮影できるカメラ」をイメージするかもしれないが、Venue 8 7000のそれは、立体写真撮影用カメラとは異なる。そもそもVenue 8 7000は、ニンテンドー3DSのような立体表示はできない。

RealSense Snapshot Depthカメラを使って画像を撮影するモードを、「デプスモード」と呼ぶ。このデプスモードで撮影できる画像は、一見すると普通の画像である。しかし、撮影した画像には、「被写体との距離情報」が付加されている。言葉で説明するとちょっと難しそうに感じるが、この情報を参照することで、画像の焦点位置を「撮影後」の画像閲覧時に調整できる。

高価な一眼レフカメラでは、手前の撮影対象に焦点を合わせ、奥の背景をぼかすことで、撮影対象を目立たせる画像が撮影できる。一方、背景に気になるものが見つかっても、画像の閲覧時にピントを合わせ直すことは不可能だ。時間はさかのぼれないので当然だが、このデプスモードを使えば、そんな不思議な操作が可能になる。

左は、デプスモードで撮影した直後の画像。右は、画像管理アプリ「ギャラリー」上で焦点距離を調整した画像

左は、デプスモードで撮影した直後の画像。右は、画像管理アプリ「ギャラリー」上で焦点距離を調整した画像である。左は手前側に焦点が合った状態になっており、右は奥側に焦点が合っている。画像の閲覧時に焦点位置を自由に変更できるのが、デプスモードの真骨頂だ。

左側に表示されているバーをドラッグしたり、直接タッチしたりして焦点距離を調整できる

焦点距離の調整は簡単だ。画面端の「焦点距離調整バー」を上下にスライドするか、撮影した画像の中で焦点を合わせたい位置をタッチするだけでいい。直感的な操作で焦点位置を変更できる。

また、焦点距離を変更した後に画像を保存すれば、次回ギャラリー上で画像を選択したときに、変更後の焦点距離で画像が表示される。もちろん、この画像に対して、後から焦点距離を変更することも可能だ。

撮影も簡単。背面に装備する3つのカメラをふさがないようにタブレットを持ち、撮影ボタンをタッチすればよい。デプスモードだからといって、複雑な撮影手順は必要ない。

被写体への距離や面積などを画面上に文字で表示できる機能

写真の撮影後、取得した深度情報を解析するため、1枚につき5秒程度の作業時間が発生する。この作業はバックグラウンドで自動的に行われる。「写真の撮影後に5秒待たないと次の撮影ができない」ということではない。

このほか、画像に記録されている深度情報を利用し、被写体間の距離や被写体のサイズなどを計測する機能もある。計測した情報は撮影した画像上に書き込める。

距離やサイズは、インチやフィート単位で大まかに表示されるので、厳密な計測には向かない。しかし、旅行先で撮影した建物の高さなどを測り、ブログやSNSなどに投稿して楽しむなら十分だろう。


携帯性に優れる高級タブレット

6ミリという驚異的な薄さもさることながら、重さも305グラムとかなり軽い。一回り画面サイズが小さい7型タブレットの重さと同等だ。小さなバッグにもスッキリ収納でき、軽量なので持ち歩きが容易。さらに高級感がある。外出先で利用する機会が多いユーザーにとってはメリットの多いタブレットといえる。

デプスモードも、写真の新しい楽しみ方として興味深い。ただ、搭載カメラの性能は一般的なタブレットの内蔵カメラ相当で、画質が高いとはいえない。タブレットの持ち方やシャッターボタンの押し方にもよるが、手ぶれが生じやすい点も気になった。デプスモードに過大な期待をしなければ、現在発売中のタブレットの中で非常に魅力的なモデルの一つといえるだろう。

竹内亮介(たけうち・りょうすけ)
 1970年栃木県生まれ、茨城大学卒。毎日コミュニケーションズ、日経ホーム出版社、日経BP社などを経てフリーランスライターとして独立。モバイルノートパソコン、情報機器、デジタル家電を中心にIT製品・サービスを幅広く取材し、専門誌などに執筆している。

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