2018年6月24日(日)

「ロボットの犯罪」裁けるか 米ロースクールの先進講義
宮本和明 米ベンチャークレフ代表

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2015/5/20 12:00
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■人工知能をどう再教育するか

 仮に将来、人工知能が犯罪に加担したと判断されるような事件が起きれば、ロボットのケースと同様、司法の場で裁きを受けることになる。ソフトウエアは“ツール”ではあるが、それを超えて知的判断を伴う行為をするMoral Agentと解釈されるからだ。

 裁判で有罪となった場合、人工知能は刑罰としてシステムの改良が求められる。例えば、特定の人種が不合格とならないようにするのだ。

 しかし、システムはルールベースではないので、ロジックを変更して要求を満たすという措置は取れない。ある方向に偏ったデータ(特定の人種が認められるデータ)を大量に読み込ませ、人工知能のシステムを再教育するしかない。ただし、システムの変更には、多大な労力を要することが予見される。

■大胆なロジックを堂々と展開

 前述の通り、講義は法曹界で確定した理論ではなく、来るべき社会に備えたブレーンストーミングの色彩が強い。高度に進化した人工知能やロボットの登場で、どんな事態が発生するかを予見したものである。

米国防高等研究開発局が開発を進める、自動車を運転するロボット(出典: DARPA)

米国防高等研究開発局が開発を進める、自動車を運転するロボット(出典: DARPA)

 ロボットが被告席に座る光景は映画の1シーンのようだが、既にロボットが人間と同じように、権利と義務を持てるかについて研究が始まっている。保守的な印象を持っていたロースクールだが、大胆なロジックを堂々と展開するところが極めて印象的であった。スタンフォード大学は科学技術で数々のイノベーションを生んでいるだけでなく、法律論理でも時代の先端を走っている。

宮本和明(みやもと・かずあき)
米ベンチャークレフ代表 1955年広島県生まれ。1985年、富士通より米国アムダールに赴任。北米でのスーパーコンピューター事業を推進。2003年、シリコンバレーでベンチャークレフを設立。ベンチャー企業を中心とする、ソフトウエア先端技術の研究を行う。20年に及ぶシリコンバレーでのキャリアを背景に、ブログ「Emerging Technology Review」で技術トレンドをレポートしている。

[ITpro 2015年3月31日付の記事を基に再構成]

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