2019年9月19日(木)

スポーツ・仕事で成功へ 様々な心理的スキルで準備
東海大学体育学部教授 高妻容一

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2015/5/7 6:30
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前回、メンタルトレーニングとは何かについて紹介をしました。今回は、もう少し詳しく説明していきたいと思います。日本で一般的に使われる言葉としての「メンタルトレーニング」は、誤解されて伝わっているように感じます。海外の専門家は、「心理的スキルトレーニング(Psychological Skill Training)」または「メンタルスキルトレーニング(Mental Skill Training)」という言葉を使います。簡単に言えば、心理的スキルをトレーニングすることがメンタルトレーニングだということです。そこで、今回はこの「心理的スキル」とは何かについて説明をしましょう。

心理的スキルとは、基本的にスポーツ心理学の研究・実験・実践などを通して、科学的にその効果が検証されてきたものです。しかし、日本のスポーツ界や一般社会には、スポーツ心理学の背景のないものが、スポーツ心理学の教育的背景のない人々によって、間違った形で伝わっている事実があります。そのため、日本でも日本スポーツ心理学会が海外を参考にして、2000年に「スポーツメンタルトレーニング指導士」という資格認定制度をつくりました。大学院で修士号を取得し、何年もかけて研修し、専門家の指導を受けて資格が取得できます。

心理的スキルにはいくつかのものがあるのですが、ここでは私たちが指導や心理的サポートに使うものを紹介します。

あるチームにリラクセーションを講習

あるチームにリラクセーションを講習

(1)目標設定

「目標設定」は、やる気を高める目的で行うプログラムです。指導者や上司から「やる気を出せ」といくら言われても、やる気の高め方を知らなくては何をしていいのかわからないのが本音だと思います。スポーツの世界では、指導者から「やる気を出せ」と言われ、選手は「ハイ」と答えるものの、何をしていいのかわからないから、またやる気を出せと怒られるという悪循環が見られます。会社組織や学校関係でも同じことが起こっていませんか?

(2)リラクセーションとサイキングアップ

「リラクセーションとサイキングアップ」は、プレッシャーのかかる場面でいかにして自分をコントロールするかという、セルフコントロール能力を向上させるプログラムです。スポーツ選手たちは試合中に「落ち着け」「平常心だ」「いつも通りやれ」「リラックス」と指導者から声をかけられても、何をどうすればいいのかわからないため、プレッシャーや緊張でミスをします。指導者は言葉だけのアドバイスはするものの、いかにして自分をコントロールするかの方法を指導しておらず、毎日の練習の中で準備・強化・トレーニングをさせていないのです。

同じように、ビジネスのプレゼンテーションや受験の面接でも、プレッシャーや緊張についての準備はしていないのではないでしょうか。簡単にいえば、プレゼンテーションのシミュレーションだけでは、準備として不十分だということです。

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