再エネ蓄電池、太陽光接続保留問題で導入に点火

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2015/5/6 6:30
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ただ、蓄電池の高いコストが壁になり、固定価格買取制度(FIT)があっても蓄電池併設型メガソーラーは事業性を確保できない、という見方が多かった。事実上、こうした地域ではメガソーラーの新設を阻む障壁になっていた。徳之島で蓄電池を併設しても事業性を確保できたのは、「韓国メーカーが事業性の成り立つ価格で蓄電池を提供してくれた」(エジソンパワー)からだ。

北海道でも、韓国メーカーと組むことで、補助金を前提としない蓄電池併設型のメガソーラープロジェクトが動き出している。

再エネ事業に取り組む日本グリーン電力開発(東京都千代田区)が建設する、苫小牧市と厚岸町のメガソーラーだ。苫小牧のプロジェクトでは、太陽光パネルの出力は38.1MW、パワーコンディショナー(PCS)の出力は25MW。厚岸町のプロジェクトはパネルの出力27MW、PCSの出力は20MW。いずれも、蓄電池は韓国・LG化学製を採用する。2015年秋に着工し、2016年10月の完成を目指す。

北海道電力は、接続申し込みが400MWを超えた分の2MW以上のメガソーラーについては、連系の条件として、蓄電池を併設して急峻な出力変動を緩和することを求めている。具体的には、メガソーラー出力の変動幅を、蓄電池の充放電制御と連携した合成出力で、1分間にPCS定格出力の1%以内に収めるという指標を示している。

蓄電池を活用し、太陽光の急峻な出力アップ時には一部で充電し、急峻な出力ダウン時には放電することで、変動幅を緩和する。設置した蓄電池容量では1分間に1%以内という指標を達成できない場合、北海道電力は、太陽光の出力を抑制することを求めている。蓄電池容量を小さくすると初期コストは減るが、出力抑制の比率が高まるという関係にある。

北海道電力は、設置する蓄電池容量と出力抑制の比率についての目安を示している。PCS定格出力と同じ蓄電池容量(kW)では太陽光発電の出力抑制率は0~1%、80%の蓄電池容量では同1~4%、60%では同11~14%という。一般的にはPCS定格出力の80%の容量がめどになる。つまり、5MWのメガソーラーであれば、4MWの蓄電池が必要とされている。

日本グリーン電力開発では、今回のプロジェクトで設置する蓄電池容量については非公開としているが、北海道電力が示している蓄電池容量の目安に沿ったものという。事業性については、「両サイトの買取価格は40円/kWhなので、蓄電池の導入コストを加味しても、同36円/kWh案件並みの収益性を確保できる」と、君塚元社長は言う。すでにプロジェクトファイナンスを組成するめども立っているという。

■投資対効果で負けてはいない

大型蓄電池の導入支援などを手掛けるエッジ・エナソル・ジャパン (東京都港区)は2015年3月、北海道帯広市に建設するメガソーラーに大型蓄電池を併設すると発表した。すでに北海道電力との技術協議を完了したという。併設する予定の大型蓄電池の定格出力は3.3MW、容量は4.4MWhとなる。韓国SKイノベーション製の40フィートコンテナ型のリチウムイオン蓄電池システムを採用する。

メガソーラーの出力規模など詳細については未公表としているが、導入する蓄電池容量から換算すると、5MW程度とみられる。

北海道のプロジェクトが補助金なしで事業性を確保できるのも、韓国メーカーが低価格で蓄電池を提供していることが大きい。背景には、今後、ポストFITを睨んだ政府の後押しによって、日本では再エネ併設型の蓄電池市場が拡大するとの読みがある。戦略的な価格を提示して、初期導入期に実績を示し、営業活動を優位に進める狙いとみられる。

こうした中で、接続保留に押され、予想より早く政府による補助金制度が始まり、国内に数十カ所の蓄電池併設型のメガソーラーや風力発電が導入されることになる。補助金を加えれば、韓国製に比べ割高感のある日本メーカー製の蓄電池を採用しても事業性を確保できるとみられる。

もともと「劣化速度の遅い日本メーカーの蓄電池は、交換費用も考慮すれば、投資対効果で決して韓国メーカー製に劣らない」との見方もある。今後、EPCサービス企業が各社の大型蓄電池システムを本格的に評価するなか、蓄電池の老舗である日本メーカーの技術力が問われることになる。

■蓄電池容量減らすシステム

同時に、補助金制度の後を睨み、蓄電池の初期投資を極力減らす制御システムや、ビジネスモデルを模索する動きも活発化しそうだ。

例えば、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)は、複数のPCSを統合制御する「メインサイトコントローラー(MSC)」という制御システムを蓄電池と組み合わせることで、蓄電池の容量を4割近く減らしても、北海道電力の要求する短周期変動対策を満たせることを提案している(図3)。

図3 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)では、複数のパワーコンディショナー(PCS)と蓄電池を統合して制御し、必要な蓄電池容量を減らすことに成功した(出所:TMEIC)

図3 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)では、複数のパワーコンディショナー(PCS)と蓄電池を統合して制御し、必要な蓄電池容量を減らすことに成功した(出所:TMEIC)

蓄電池の容量を減らして初期投資を抑え、事業性を向上させる発想のほか、ビジネスモデルの工夫で蓄電池の投資負担を抑える方法も検討されている。補助制度の対象には、「短周期変動対策」に加え、需給バランスを改善する「長周期変動対策」も含まれる。実は、需給バランスを改善する長周期変動対策は、時間単位で抑制される太陽光の出力を充電することになるため、一般的に必要な蓄電池の容量(kWh)はさらに大きくなると考えられる。

ただ、出力抑制の手法や手順によっては、投資負担を抑えられる可能性もある。例えば、出力抑制をエリアごとに輪番で実施することになれば、1つの大型蓄電池をエリアの異なる複数のメガソーラー事業者でシェアして活用して投資コストを分散したり、蓄電池アグリゲーターのような事業者が登場する余地も出てくる。出力抑制の方法については現在、経産省の新エネルギー小委員会で検討中だが、小委員会の場でもこうした新ビジネスの可能性ついて念頭に置いている。

再エネ併設型の蓄電池市場が、補助金制度によって注目を集めることは間違いない。ただ、制度が終了しても自立的に成長するか否かは、補助金が呼び水となってどこまで蓄電池のコストが下がるのか、さらに蓄電池の投資コストを抑える高度な制御技術や新しいビジネスモデルの登場にかかっている。

(日経BPクリーンテック研究所 金子憲治)

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