2019年6月27日(木)

電力の3割が地熱 アイスランド、蒸気使い尽くす技
編集委員 竹田忍

(2/2ページ)
2015/4/28 6:30
保存
共有
印刷
その他

かつて地熱発電所が垂れ流していた温排水中のケイ素成分などが溶岩土壌の隙間を埋め、自然にできた湯船に近隣住民が勝手に入浴したところ、皮膚病の症状が改善したという。この評判が広がり、現在の温浴施設や温泉プールに発展した。世界30カ国以上から湯治客を受け入れ、宿泊室が15室あり2~3週間の集中治療コースまで設けた。4月には20室を増築したほどの人気だ。

スバルツェンギ地熱発電所で稼働する富士電機製の地熱発電機器(2月、アイスランド)

スバルツェンギ地熱発電所で稼働する富士電機製の地熱発電機器(2月、アイスランド)

温泉の中で生育する藻類を培養する施設も併設している。42度の温水を直径4センチ、長さ5メートルの水平に50段並べたガラス管が培養装置の1セット。これを10セット、垂直に立ててナトリウムランプの光を当てると24時間程度で回収できるという。藻類は化粧品に加工し、ブルーラグーンのお土産となる。地熱を無駄なく使い切る姿勢は徹底している。

■三菱重工、東芝…日本製機器が活躍

アイスランドの地熱発電所では三菱重工業や富士電機、東芝など日本製の機器が多く見られる。腐食成分を多く含む地熱の蒸気に堪えるには特殊な金属を精密に加工する技術が必要で、太陽光パネルのような新興国によるコモディティ化が進みにくい。世界最大の地熱発電所を運営するアワ・ネイチャー社のブリニャル・ステファンスソン氏は「日本との協力でこの発電所ができた」と話す。

火山国である日本とアイスランドは地熱への関心が高い。両国で最も異なるのは熱利用の形態だ。日本では温水プールに使うケースが目立つが、アイスランドでは暖房への利用が盛んだ。地熱利用の43%を暖房が占め、発電は2番目で40%。以下、魚の養殖、プール、融雪などが続く。温水や蒸気を一般家庭まで送り届ける配管網が行き渡っているからで、これが日本にはない。

地熱発電所の適地が国立・国定公園の敷地内に偏り、開発が難しいとよく言われるが、立地場所以外に熱利用のやり方も含めて考えないと、エネルギーの利用効率は上がらない。地熱の蒸気を徹底的に使い尽くし、最後には地中に戻す仕組みを確立できているかどうか。「地熱発電システムの製造が得意」「地熱エネルギーのポテンシャルが高い」からと、日本が即、地熱大国になれると考えるのは早計だ。

  • 前へ
  • 1
  • 2
保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報