電力の3割が地熱 アイスランド、蒸気使い尽くす技
編集委員 竹田忍

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2015/4/28 6:30
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地熱発電の歴史は1904年、イタリアのラルデレロで始まった。出力は0.55キロワットで、その後は順調に拡大し1942年には総出力12万キロワットを超える規模に達したが、第2次世界大戦で焼失した。ラルデレロではこれに先行して1827年から地熱蒸気で熱水を加熱し、ホウ酸を抽出する工場が稼働していた。イタリアは地熱先進国だった。

■総発電量の3割が地熱、海外に送電する構想も

記者会見するアイスランドのグンラウグソン首相(2月、レイキャビク)

記者会見するアイスランドのグンラウグソン首相(2月、レイキャビク)

現在の欧州で地熱エネルギー開発に積極的に取り組んでいるのがアイスランドだ。北海道の約1.2倍の土地に32万人が住む。一時は金融立国を目指したが、2008年の金融危機で破綻状態に陥り、現在は地熱資源の利用と観光産業へのシフトを鮮明にしている。地熱発電の設備能力は66万8000キロワットと世界7位。総発電量の3割が地熱で、残りが水力だ。シグムンドゥル・ダビズ・グンラウグソン首相は日本記者クラブ取材団に対し、「国民1人当たりで年間26トンの石炭を節約できた」と語る。

電気代の安さをセールスポイントに電力多消費産業であるアルミニウム精錬工場を誘致した。新たな誘致ターゲットに考えているのがIT産業のデータセンターだ。電気代の安さに加えて、気温の低さがコンピューターの冷却コスト抑制につながる利点もある。地熱発電の設備を拡大し、将来は海底ケーブルで英スコットランドに地熱で起こした電気を送りたいと、壮大な構想も温めている。

日本では地熱発電に対し、温泉事業者が泉源に悪影響を及ぼすとして反対するケースがあるが、アイスランドは逆だ。首都レイキャビクにある国連大学・地熱エネルギー利用技術研修プログラムの統括責任者は「地熱発電があるから温泉がある」と述べた。レイキャビクの南西約40キロの温泉プール「ブルーラグーン」。白濁したあたたかい温泉を求めて年間70万人が訪れる人気の施設で、オーロラと並ぶアイスランドの有力な観光資源だ。湯煙の向こうにはスバルツェンギ地熱発電所が見える。実はこのブルーラグーンは同地熱発電所の温排水を使っている。

奥に見える地熱発電所の温排水を利用した温泉プール「ブルーラグーン」(2月、アイスランド)

奥に見える地熱発電所の温排水を利用した温泉プール「ブルーラグーン」(2月、アイスランド)

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