2019年1月21日(月)

断熱フィルムめぐる消費者庁の措置命令に執行停止

2015/4/24付
保存
共有
印刷
その他

窓ガラス用フィルムの省エネ効果を示す表示内容に根拠がないとして、製造・販売会社2社に再発防止などを求めた消費者庁の措置命令に対し、東京地裁は2015年4月20日付で命令の執行を停止する決定を下した。2社は3月18日に、国を相手取って命令の取り消しと3億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こすとともに、命令の執行停止を申し立てていた。

訴えていたのは翠光トップライン(東京都台東区)と子会社のジェイトップライン(同文京区)。2社は、製造・販売する「シーグフィルム」のパンフレットやウェブサイトに「透明のフィルムを窓ガラスに貼るだけで冷暖房効率が30~40%アップ」などと示していた。

消費者庁が措置命令を下したパンフレットの表示。翠光トップラインの資料を基に日経ホームビルダーが作成

消費者庁が措置命令を下したパンフレットの表示。翠光トップラインの資料を基に日経ホームビルダーが作成

こうした宣伝に対し、消費者庁は2013年9月、「表示などに問題がある」と指摘。2社が技術的な根拠資料を提出するなどしてパンフレットに示した省エネ効果を主張したものの、表示内容を裏付ける合理的な根拠を示すものではないと判断し、2月27日に措置命令を下していた。今回の執行停止で、一審判決が出るまで命令の効力は停止する。

翠光トップラインなどが国を提訴するまでの経緯。日経ホームビルダーが取材を基に作成

翠光トップラインなどが国を提訴するまでの経緯。日経ホームビルダーが取材を基に作成

同庁の命令に対して、2社は訴状で、「シーグフィルムの技術を全く理解しない微視的かつ机上の空論に基づくもので、一方的で公平性を欠く判断」だと反論している。

翠光トップラインなどによると、シーグフィルムは透過率が高く、放射率が低い。窓ガラスの室内側に貼ると低放射の性質で断熱効果を得られる仕組みだ。例えば夏季は、日光の遠赤外線が板ガラスに吸収されて熱になる。その熱はフィルムを貼った部分から放射されにくいので、相対的に室外側のガラス表面から放射されやすい。その結果、室内の温度上昇を抑えられる。

窓ガラス用断熱フィルムにはJIS規格があるが、2社は根拠資料として第三者機関の実験結果を提出した。「JIS規格は遮蔽係数や熱貫流率に関するものなので、透過率が高いシーグフィルムの効果を適正に評価できない」(翠光トップライン専務の清水康二氏)との理由だ。

■消費者庁は実験方法を問題視

実験で示したのは、夏季の室内温度の上昇抑制効果、冬季の室内対流熱の損失抑制効果、フィルムの低放射特性。例えば、室内温度の上昇抑制効果は、上側にガラスをはめた複数の箱を屋外に並べ、箱内部の温度変化を実測した。清水さんは、「JIS準拠ではないことが問題かと推測したが、消費者庁は否定する。同庁から『合理的な根拠ではない理由』がきちんと説明されない」と話す。

一方、同庁は実験方法に問題があると指摘する。「学術界や産業界で一般的に認められた方法だとは認められない。2社にはその点を説明した」(同庁表示対策課)。先述の実験では箱の間隔が狭くて適切な日射を得られなかった可能性を指摘する。

双方で意見の食い違う根拠資料の有効性は、裁判で改めて議論されることになるだろう。

(日経ホームビルダー 森下慎一)

[ケンプラッツ 2015年4月23日掲載]

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報