2018年10月24日(水)

自動車メーカーの敵はグーグルではない
みらいのトビラ(5)

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2015/5/6 6:30
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日経テクノロジーオンライン

 自分の専門性という基盤を生かして、異分野の人々と同じ土俵で対話する自信があるか。そう問われたときに、胸を張って「ある」と答えられる読者はどれくらいいるだろうか。自信を持つためのカギは、さまざまなモノやコトに興味を持つ「好奇心」にある。今後10年超にわたるICT(情報通信技術)やエレクトロニクス業界の長期トレンドを予測したレポート『メガトレンド2015-2024 ICT・エレクトロニクス編』(日経BP社)の著者である川口盛之助氏と山本一郎氏が、これから拡大する市場や、企業・技術者の在り方を語り合う対談の最終回。今回は、複数の分野が融合する“カオス領域"が広がる中、企業および、そこで働く人たちに本当に求められていることについて議論する。

山本 僕は今、プロ野球の仕事をしています。主に編成と育成のデータを担当しています。具体的には、楽天ゴールデンイーグルスのデータ管理です。

選手の育成について「どうやって育てよう」という考え方がコーチになかったら、その選手はどうやって自分のいいところを伸ばしていいか分からないですよね。例えば、体が細くて足の速い選手がいます。彼の持ち味はスピードだと分かりきっている以上、たくさん食わして長距離砲にするというわけにいかないじゃないですか。そういったところから考え直さないとダメじゃないでしょうか。それはエレクトロニクス業界でも共通だと思います。

「今、与えられている条件はこれです」ということがある。選手の専門性というのは、結局ピッチャーはピッチャー、キャッチャーはキャッチャーで、もう決まっているわけで、自分の専門領域の中で最大限のパフォーマンスを出すためのトレーニングをしています。そういう選手たちに、「チームの勝利にどうしたら貢献できるのか」ということをきちんと言ってあげないといけない。選手たちもできることが限られているから、きちんと補助してあげなければならない。

投資家/ブロガー/経済ジャーナリストの山本一郎氏(左)、盛之助 代表取締役社長の川口盛之助氏(右)(写真:加藤康、以下同じ)

投資家/ブロガー/経済ジャーナリストの山本一郎氏(左)、盛之助 代表取締役社長の川口盛之助氏(右)(写真:加藤康、以下同じ)

山本 その中で一本立ちする選手というのは、自分で考えて「俺、こういう選手になりたいです」「俺、この待ち球しか待てないんで、ここをしっかり待って頑張っていきます」という人です。そういう選手は勝手に伸びていきます。そうすると「あいつを育てたのは俺だ」とかいう手柄話になるんですが、限られたプロフェッショナルな世界でも自分の進んでいく道をちゃんと選んで、伸びていく人はいるんです。

技術者も同じで、自分が選んだ専門を通じて取り組めることって、本当にたくさんあります。それは15歳だから優れているかというとそうではなくて、45歳でも新しい領域に興味を持って論文を読み始めたらいろんなことが分かるはずです。

「好奇心」というのは、自分が知りたいことに沿って、専門性の幅を広げてくれる心の働きです。それこそエレクトロニクスのように、ある程度一つのストーリーが終わった産業分野でも、「次に何があるんだっけ?」と考えられる人をどうやって大事に、意思決定の中心に置いていくかは、ものすごく重要なマネジメントだと思います。

――なるほど、考えるべき次のストーリーは、エレクトロニクス業界でもまだまだたくさんあると。

山本 いっぱいあります。

――そこをどう考えるかは結局、一人ひとりが好奇心を持って、世界観を持って突き詰めていくしかない。

山本 この対談でも何度か出てきましたけれど、「IoT(Internet of Things)」や「ビッグデータ」というバズワードは過渡的な概念だと思います。「IoTとさえ言っておけば、とりあえずは説明できる」と思っていたら、それはちょっとさすがにまずい。

IoTという言葉が出た瞬間に「これが解だ」と言うのではなく、そういう言葉を理解の中継点にして、「では、ウチの商品はどこを目指すんだ」「ウチはどういうサービスを作っていくんだ」と考えていくべきだと思います。そこから先に「どうやって人間はより便利になっていくのか」「人間に近づいていくのか」ということを精査して、自分たちはどこまでお客さんに向き合って仕事ができるのかを考えていく。こういう検討をやらなさ過ぎているような気がします。

――そんな感じですよね。

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