2019年9月16日(月)

守・破・離への道(岡田武史)

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ドイツに見たスポーツの価値 日本、付属物の殻破れ

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2015/4/23 6:30
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建設コストより運営コストの方が高くつくスポーツ施設は往々にして造った後にお荷物になりがちだ。そういう事態を避けるには試合がある日以外の300日をどう稼働させるかが大事になる。ショッピング施設や医療関係の施設とスタジアムがコラボレーションするのはそのためであり、それこそトップアスリートから地域に暮らすおじいちゃんやおばあちゃんまで「あそこにいけばリハビリがうまくいく」「あそこにいけば体にいい体操を教えてもらえる」と喜んでもらえるような場所になれたらと思う。

ホーム開幕戦の後、運営ボランティアと記念撮影する岡田氏(前列中央)

ホーム開幕戦の後、運営ボランティアと記念撮影する岡田氏(前列中央)

勝利とは別のメリットでも還元を

逆にいうと、そういうコラボが実現しないと、日本のスポーツビジネスはいつまでたってもタニマチ頼みの脆弱性から抜け出せないように思う。

もし、私がJ1のトップ集団にいるクラブのオーナーなら、そんなことは考えなくてもいいのかもしれない。しかし、FC今治は四国リーグのクラブ。四国リーグを制し、全国地域リーグ決勝大会を勝ち抜いて昇格を果たしてもやっと日本フットボールリーグ(JFL)である。その上にはさらにJ3、J2、J1があるわけで、広告効果だけを考えたら、強くなること、勝つこと以上のプラスアルファのメリットをスポンサーやお客さんに提供できるようにならないと、寄せてもらった金額に見合わないと思うのだ。

私はそのプラスアルファのメリットとして、先に述べた新しいスポーツのビジネスモデルを世に提示したいと思っている。

そのモデルが今治で成功すれば、別の競技や別の地域でも可能になるかもしれない。東京五輪後の日本のスポーツの在り方に一石を投じられるかもしれない。

スポーツを地域戦略の一環で位置付け

何かそういう、聞き手が思わず身を乗り出すような、スポーツのポテンシャルが実感できるような提案ができないと、日本のスポーツはいつまでたっても、誰かや何かにすがる付属物的な存在から抜け出せないように思う。

己の分を知ることは大切だと思う。知足という言葉があるように、過度の競争に踏み込むリスクも承知している。それでも私は一つの地域戦略として、地域が生き残る活路をスポーツに見いだしたいと真剣に考えている。

(FC今治オーナー、サッカー元日本代表監督)

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