2019年6月16日(日)

守・破・離への道(岡田武史)

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ドイツに見たスポーツの価値 日本、付属物の殻破れ

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2015/4/23 6:30
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4月5日に開幕した四国サッカーリーグを私がオーナーのFC今治(愛媛)は3連勝で滑り出した。12日の第2節はホームで最初の試合を迎え、880人のお客さんが足を運んでくれた。クラブのトップとしては、とにかく大きなトラブルもなく終えたことにほっとした。

監督時代はチームの勝ち負けのことで頭の中はいっぱいだったけれど、オーナーになるとそれにプラスしてお客さんの入りのことを考えないといけない。12日のホーム開幕戦は、そういう意味では初めて体験する類いの武者震いに襲われた。

ホーム開幕戦で「初めて体験する類いの武者震いに襲われた」という岡田武史氏

ホーム開幕戦で「初めて体験する類いの武者震いに襲われた」という岡田武史氏

努力が結実、クラブ史上最多の入場者

四国リーグの試合でこれまで入場料など取ったことはないから、チケットセールスを基に来場者を予測することはまったくできなかった。となると、試合会場にどれだけの人員を配置し、どんな設備を用意していいかが分からない。うちのホームの「桜井海浜ふれあい広場サッカー場」は500人もお客さんが来たら満杯になる。そこに収容能力を超える人が押し寄せてくれたらすごくうれしいことではあるけれど、お客さんの安全を第一に考えたら恐ろしくもあった。

「大勢のお客さんに見てもらいたいけれど、大勢過ぎても困る」――。そんな相反する感情の間で試合前日から私自身が揺れ続けていた。

せっかく来ていただいたお客さんに「座る場所がないからお引き取りください」では申し訳が立たないのでキャパシティーを可能な限り、広げる対策を立てた。長イスを多めに用意し、仮設のトイレも設営した。プレーに支障がない範囲でピッチ上も開放、ビニールシートを敷いて座ってもらえるようにもした。そういうクラブに携わる人々の全員の努力が900人弱という、FC今治にとってクラブ史上最多の来場者につながったのだと思う。

ありがたかった愛媛FCからの援軍

ただ、もろ手を挙げて喜んでばかりもいられない。警備員や仮設トイレとか、昨シーズンまでなら必要のないものまで手配することになり、1試合で100万円ほど出費がかさんでしまった。ホームゲームは年間7試合。この調子でホームゲームの運営にカネをかけるわけにはいかない。うちのような小所帯のクラブに700万円は間違いなく大金。早急に善後策を講じる必要がある。

初めてのホームゲームを大きなトラブルもなく終えられたのはJ2(Jリーグ2部)の愛媛FCが運営を手伝ってくれたことも大きかった。プロでないと分からない、こまごまとしたところまで目配りをして運営をサポートしてくれた。こちらは四国リーグ、向こうはJ2。番付でいえば月とスッポンとはいえ、同じ県内の競争相手になるかもしれないクラブに塩を送ることはなかなかできることじゃない。

四国の、愛媛のサッカーの発展のために、大所高所から判断してスタッフを貸し出してくれた愛媛FCの関係者の皆さん、特に豊島吉博社長には心からのお礼を述べたい。将来的には衝突のダービーマッチではない、新しい共生のダービーマッチができたらと思う。

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