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EVの先を見据えるテスラ、「オール電化」の野望

 米シリコンバレーの電気自動車(EV)ベンチャー、テスラ・モーターズが電池生産を本格化させる。パナソニックと共同でネバダ州に巨大工場を建設中で2016年に生産を開始。電池の大量生産でEVの価格を引き下げるだけではなく、業務用や家庭用の蓄電池ビジネスへの本格参入ももくろむ。著名起業家としても知られるイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)による「EVの先」を見据えた野望が広がる。

ネバダの巨大電池工場で家庭用システムも生産

ネバダ州リノ郊外に広がる広大な工業団地。テスラがパナソニックと共同で投資する巨大電池工場「ギガファクトリー」の建設が急ピッチで進む。20年までに総額50億ドルを投じ、EVの要となるリチウムイオン電池を量産する。

同工場で目指す電池の年間生産能力は35ギガ(ギガは10億)ワット相当。20年の本格稼働時には、同工場で1年間に生産される電池の数が「13年に全世界で生産された電池の総量を上回る」(テスラ)見通しという。

大規模工場建設の狙いは電池コストの低減だ。テスラの現在のEVの年産規模は3万台程度。主力は900万円以上の高級EVだ。将来は新工場を生かしたコスト低減でその半額弱の新型EVを生産する計画。同社は20年までに年間50万台のEV生産を目指す。

巨大電池工場からはき出される電池はEVだけに使われる訳ではない。テスラ幹部は「ギガファクトリーでは業務用や家庭用の蓄電池システムも生産する」と明かす。

あまり知られていないが、テスラはEV以外に家庭用蓄電池システムも販売する。将来は大規模な業務用蓄電池システムにも本格参入する計画を持つ。同幹部は、ギガファクトリーで電池の量産コストを大幅に引き下げて「既存の競合各社がかなわない価格帯で蓄電池システムを投入することができるようになる」と意気込む。

あらゆる領域で「オール電化」目指す

蓄電システムは家庭やビルなどの電力管理システムの要に使われる製品だ。夜間の安い電力をためて昼間に使うことでコストを削減したり、風力や太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電力をためておくのにも不可欠。自動車大手では日産自動車がEV「リーフ」の蓄電池を使って家庭の電力コストを引き下げられるシステムを販売中。膨大な量の電池を使うEVでノウハウをためたテスラは、自ら蓄電池システムに参入することで「クルマ以外」の市場を開拓する。

テスラCEOのマスク氏はシリコンバレーでも指折りの起業家として知られる。テスラ以外にもロケット製造を手掛ける宇宙ベンチャーの米スペースXなどを起業。同氏が会長を務めるもう一つのベンチャーが、太陽光発電の米ソーラーシティだ。

ソーラーシティは住宅や工場に太陽光発電システムを貸し出すビジネスを展開しており、「蓄電池システムとの親和性はとても高い」(同)。将来はテスラとソーラーシティが組んで新ビジネスを立ち上げることも可能になる。「すべてのクルマをEVにしたい」と語ってきたマスク氏だが、テスラやソーラーシティの戦略をひもとくと、将来はクルマから家まであらゆる領域で「オール電化」を目指す狙いが浮かび上がる。

(田中暁人)

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