2018年5月21日(月)

神宮球場とラグビー場を入れ替え 区画整理スタート

2015/4/10付
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ケンプラッツ

 2020年東京五輪でメーン会場となる国立競技場の建て替え計画を契機に、スポーツ施設が集積する明治神宮外苑の再開発が動き始めた。東京都は2015年4月1日、神宮外苑地区の地権者など関係権利者と、新しい街づくりに係る基本覚書を締結。都が想定する神宮外苑地区の再整備は、地権者による個人事業として、東京五輪後の2020年度から始まる。

赤枠の再開発エリアは約17ha。明治神宮などが地権者(資料:東京都の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)

赤枠の再開発エリアは約17ha。明治神宮などが地権者(資料:東京都の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)

 上図の赤枠で囲われた再開発エリアは約17ha。2025年度末までに野球場やラグビー場などを連鎖的に建て替える。神宮球場の竣工は1926年(大正15年)。完成から89年が過ぎて老朽化が進んでいる。秩父宮ラグビー場も築68年と年季が入った建築物だ。

 スポーツ施設の集積地として都民に親しまれてきた神宮外苑を、東京五輪の後にもにぎわいを生み出す街として生まれ変わらせる。都は関係権利者である明治神宮、日本スポーツ振興センター(JSC)、高度技術社会推進協会、伊藤忠商事、日本オラクル、三井不動産と協力して街づくりを進める。

 覚書の締結はあくまで街づくりのスタート宣言。三井不動産は「街づくりの知見は提供できるが、まだ覚書の段階。具体的な構想はこれからだ」(広報部)と説明する。都は既に明治神宮などの地権者に大まかな整備のイメージを伝えた。例えば、開発地域の北側に位置する神宮球場と、南側にある秩父宮ラグビー場の位置を入れ替えるといったアイデアだ。

■競技への配慮から球場を入れ替え

 都の都市整備局まちづくり推進担当の越智英明課長は「野球場とラグビー場の入れ替えは、競技の継続性を配慮したアイデアだ」と説明する。ラグビーに関しては、2019年に開催されるラグビーワールドカップの会場として、同年に完成する予定の新国立競技場が使用できる。

 都は新たな野球場を2022年度末、ラグビー場を2025年度末に完成させる目標を立てている。神宮外苑の都市計画に関して、東京五輪までに各種手続きを滞りなく進める考えだ。越智課長は「ラグビー場で天然芝を養生するなら、日照などの関係で南側にビルが建つ現在の場所より、北側に配置したほうが良いとの考えもある」と明かす。

神宮球場は築89年で老朽化が進む(写真:日経アーキテクチュア)

神宮球場は築89年で老朽化が進む(写真:日経アーキテクチュア)

秩父宮ラグビー場は芝生養生の観点からもビルから離れた場所に移築を検討(写真:日経アーキテクチュア)

秩父宮ラグビー場は芝生養生の観点からもビルから離れた場所に移築を検討(写真:日経アーキテクチュア)


 ラグビー場と野球場の間にはスポーツ関連施設を集約する。神宮外苑にあるテニスコートや室内練習場を中心部に移転する計画だ。再開発エリア内には南北に貫くように、大通りから歩行者を呼び込む動線を設ける。南側を走る青山通りには現在、民間企業が所有するビルが立ち並ぶ。このビルの間を縫うような歩道を設けることで、大通りの歩行者が神宮外苑から新国立競技場まで向かう動線をつくるという。

 OMスクエアやTEPIAといった建物は、竣工から日が浅いためそのまま残る予定だ。歴史的で古い街であることから同地域ではバリアフリー化が一部遅れているところもある。都と覚書を交わした6者は本社が所在する伊藤忠商事や、同地域の不動産に信託受益権を持つ三井不動産などが相互連携しながら新しい神宮外苑の創造に協力しながら開発に当たることとなる。

 スポーツ施設の運営に詳しい早稲田大学スポーツ科学学術院の間野義之教授は「スポーツ施設で大切なのは日常利用。試合を開催しない日の集客がどれだけあるかが大切だ」と指摘する。都は再編整備の青写真を描いてはいるが、ソフト面については各施設の運営者に任せるという。

 神宮外苑は青山通りを背に、聖徳記念絵画館を望む沿道のイチョウ並木が有名だ。この区域を含む外苑東寄りは景観保全のため、都は再開発の対象から外している。歴史ある街並みを生かしながら、世界に通用する一大スポーツ拠点を東京の中心につくるため、官民が歩調を合わせ始めている。

(日経アーキテクチュア 江村英哲)

[ケンプラッツ 2015年4月10日掲載]

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