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大学就職課が語る 売り手市場で内定とれない学生

 初めての就職活動は分からないことだらけ。直接企業に質問しづらいことも多いし、口コミ情報がどこまで信用できるかも不安だ。そんな悩みを解決する「就活探偵団」。就活生の疑問に答えるべく、あなたに代わって日経記者が企業に突撃取材します。

就活スケジュールの変更は大学就職課(キャリアセンター、略称キャリセン)の就活支援策にも大きな影響が出ている。「後ろ倒し」をうのみにせず早くから就活を始めた学生、3月以降にようやく動き出した学生と「二極化」が極端だからだ。後ろ倒し就活の苦労、内定取れない学生などについて東阪私大のキャリセン担当者に匿名で語ってもらった。

■「内定の二極化」の懸念

――学生の動きは昨シーズンと比べてどう変わったか。

中堅上位A大 全体の1割は3年生初めからちゃんと就活を始めている。7割が3年夏から秋にかけて少し動き、残りの2割が3月まで何もやっていない。この差は大きい。すぐに内定をとれる学生、なかなか内定をとれない学生と、はっきり分かれるかもしれない。

中堅下位B大 うちクラスの大学でも意識の高い学生はいますが、中間から下はいかんせん動きが鈍い。昨シーズンまでを見て「この先輩でも内定とっているから自分は大丈夫だろう」と安心してしまっている。

上位C大 3月1日の学内説明会の様子をみて、学生の緊張感のなさにがくぜんとしました。収容人数の半分も埋まらない会場ばかりで、こんなに参加者が少ないとは……。今シーズンの学生の「まったり度」に頭を抱えています。

■内定一次ピークは6~7月か

――経団連系企業は指針通りに「後ろ倒し」をきっちり守るだろうか。

中堅下位B大 企業の採用担当と話しても「8月選考まで待てない」という企業が多い。6~7月には実質的な内定が出るだろう。

中堅上位D大 採用支援会社は「ほとんどの企業がスケジュールを守らないでしょう」と話していた。選考ピークは5~6月ぐらいではないかと言っていた。

関西上位E大 指針が守られるかどうかわからないので、学生には「いつ始まってもいいように自己分析を進めておくように」と言い続けてきました。OB、OGのほか内定者も動員して面接練習をしたり、エントリーシート(ES)をチェックしたり、今シーズンはサポートを分厚くしています。

■「力尽きる学生」続出?

――売り手市場といわれるが、内定はとりやすくなると思うか。

F女子大 むしろ今シーズンは苦戦すると思っている。「売り手市場」をうのみにした結果、緊張感のない就活をしてしまってなかなか内定がとれず「こんなはずじゃなかった」と焦る学生が必ず出てくる。10月以降ももつれこむ長期戦を覚悟している。

中堅上位D大 後ろ倒しを学生も大学も素直に信じていると内定がとれない学生が続出するのではないかという恐怖を感じる。

中堅下位B大 正直、内定率は昨シーズンより下がると覚悟している。3月解禁以降、大きなピークを迎えないまま就活がダラダラ続き、力尽きてしまう学生も出るだろう。

関西上位G大 15年卒の内定率(5月時点)が前の年に比べて、15ポイントもあがった。かなり異常な数字で、16年卒採用が不透明なので多めにとった可能性がある。この反動で16年卒は内定率が下がる、つまり内定とれない学生が増えるのではという危機感がある。

■「答え」求める学生はダメ

――内定をとれない学生はどんなタイプか

上位H大 ここ数年で就業意欲やコミュニケーション能力が極端に低い学生が増えている。内定とれない学生に共通するのは、ゼミにもサークルにも入らず、世間との関係を絶っているケース。こういう学生はあいさつなどの基本動作ができず、売り手市場であっても企業から敬遠される。

中堅上位A大 模擬面接をした時、「どう答えればいいんですか?」「何が正解ですか?」と答えを求めてくる学生はダメ。正解などなく、自分で考えて判断するしかない。メールを読んでも内定取れるかどうかがわかる。内定とれない学生のメールは宛名が入っていなかったり、自分の名前を書いていなかったりとまるで友達に送っている感覚。マナーを知らない学生も内定取れない。就活ガイダンスで「説明会でペットボトルのお茶を飲むな」と注意すると、目の前のペットボトルのお茶を一気飲みし、ペットボトルをあわてて片付ける学生、学内説明会なのにかかってきた携帯電話で話し出す学生。こういうのは売り手市場だからといっても、企業に受け入れてもらえない。

中堅上位D大 キャリセンに就活の模範解答を求めてくる学生は内定をとりにくい。逆に言うと、内定をしっかりとる学生に共通しているのは、普通のことを普通の言葉で、自分で考えてわかりやすく話せる能力。将来のキャリアを意識しながら学生生活を送れていると、自信を持って話せるケースが多いようです。

中堅下位I大 基本的なマナーがなっていない学生は内定が遠い。キャリセンに面談にきても帽子をかぶったままの学生、面談の予約を入れていたのに平気ですっぽかす学生……。注意はしますが、厳しい就活になりますね。

■大半の学生にとって後ろ倒しは「不幸」

――「後ろ倒し」は学生にとっていいことはあるのか。

上位C大 従来の就活が学業の妨げになっていると大学側も指摘していたので、表向きは後ろ倒し就活に大学は反対できない。確かに3年生終わりまで学業に専念できる学生もいる。しかし、実際には待ちきれない企業が4月から選考を始めており、結果的に就活で出遅れてしまうのが心配。

 中堅下位B大 夏休みもとれず就活が長引くのではないか。仮に世間で言われているように6~7月に内定ピーク第一波がくれば、授業の欠席も増える。前のスケジュールのほうが学業への影響は少ないのではないか。少数の留学生以外、学生の大半は不幸だと思う。

F女子大 正直、この就活スケジュールは続かないだろう。企業は「早く学生と接触したい」とうずうずしており、ルールが守られるとは思えないからだ。様々な情報が飛び交い、学生は疑心暗鬼になっている。

■夏休みがとれない

関西上位E大 8月選考だと夏休み期間なので関西から上京する学生は新幹線や飛行機のチケットがとりにくくなり、宿泊代もシーズン料金で高くなることを心配している。そもそも訪日観光客も多いので宿が確保できるかどうか。

中堅上位A大 大学職員は普段の休みが少ないので夏休みにまとめて休暇をとるのですが、今年は難しそう。各大学のキャリセンの集まりで「おたくは夏休みどうするの?」といつも話題になります。

上位H大 8月より前に選考活動が本格化すると、学業への悪影響が心配。文系なら6月の教育実習、7月の定期試験、理系は卒論が重なる。クールビズ推奨という話もあるけれど、実際は、学生は真夏の8月にリクルートスーツで就活をすることになるでしょう。キャリセンも、企業の採用担当も夏休みがとれない。学生も大学も企業も大変な思いをして、この就活は誰が得をするの?と疑問に思います。いつ見直しが入るのかと、大学のキャリセン関係者はみな期待していますよ。

■探偵団から一言

「誰も得をしない」という後ろ倒し就活だが、一番大変なのは猛暑の8月に歩き回る就活生。企業は本気で「クールビズ就活」に取り組んでみては。

(齋藤勇紀、松本千恵)

 次回は4月16日(木)に掲載予定です。
 「お悩み解決!就活探偵団」では読者の皆様からのご意見、ご感想を募集しております。こちらの投稿フォームからお寄せください。就活探偵への就活生からの疑問は日経就職ナビのホームページから受け付けています。これまで寄せられた主な疑問もご覧になれます。
読者からのコメント
50歳代男性(情報処理、SI、ソフトウェア)
体質が重要だと思うが、暑い中クールビズをせずに夏バテして、以降の就活に影響が出るのは避けるべきだと思う。『クールビズ』について触れていなくても、就活生自らの判断で行っても良いと思う。
50歳代女性(金融・証券・保険)
クールビズの学生とスーツ姿の学生が並ぶと、どうしてもスーツ姿の方が優秀そうに見えてしまう。本気で採用されたいなら徹底的に見た目にこだわるべき。
50歳代女性
どこまでOKか?判断力を問われる試験のようなもので難しいと思う。上着なしで半袖でもネクタイは締める方が良いだろう。ところで女子はボウタイをしてはどうかと思う。今のブラウスは襟元がだらしない。
30歳代男性(教育・教育学習支援関係)
意外とクールビズファッションは難しい。室内も涼しかったりするので夏物のスーツで行った方が最初は無難かも。
30歳代女性(情報処理、SI、ソフトウェア)
ただし、「クールビズ」と一言で言っても、企業や業界の違いでかなりの差があると思われる。 そのため、ネクタイはしないけど、鞄の中には入れておく。くらいの気持ちは必要かと思う。
50歳代男性(電気、電子機器)
今年の採用面接は真夏になります。上着なんか着てきて暑さで体調を崩すような人は要りません。半袖ノータイで来社し、エアコンの効いた中で面接の時だけネクタイをつけてピシッとした姿を見せる程度だと思います。
60歳代男性
「クールビズ」といっても会社ごとの幅が大きすぎ、学生たちもどう捉えるか困惑すると思います。その会社での「クールビズ」とは何かの定義をした上で「クールビズで来てください」と伝えるべきでしょう。
60歳代男性(公務員)
相手の言うとおりのことをやって評価を落とすような企業は、説明会の内容などすべてが二枚舌企業という感じがする。もし、それが消費者側に伝われば、企業としての信用問題でもある。そうゆう企業は公表してほしい。
20歳代以下男性(機械、重電)
「クールビズで来ても良い」なら悩みどころだが、「来てください」は会社から就活生への指示・命令と受け取れる。
70歳代以上男性
クールビズで来てくださいということは、日本人の論理に合わない。本音とタテマエの典型。額面どおりに受け取るということは日本人の論理から外れている。世界でもただひとつの国だろう。
20歳代以下男性
夏にある公務員試験は半袖ワイシャツにスラックスでノーネクタイのような出で立ちで行われるので問題ない
40歳代男性(その他)
ある程度の常識範囲で!と言っても、常識そのものが個人差が大きいので、ドレスコードを謳ったほうが学生も安心する。但し、素の姿を企業が望むのなら、予めハッキリ伝えたほうが双方の為になると思う。
50歳代男性(エネルギー)
その通りでなければ、建前だけで仕事をしている成長性のない会社であることがわかる。
40歳代男性(情報処理、SI、ソフトウェア)
あくまでも働く服として相応しい自分なりのスタイルが試されていると受け止める
60歳代男性
就活生の常識度を試す悪魔のフレーズです。
40歳代女性(機械、重電)
世間にはそんなに試すことをしている企業が多いのか、性格が悪いとしかいいようがない。
70歳代以上男性
高温多湿のわが国の仕事着として10年くらい掛けてようやくこの服装文化が緒につきつつあるので、額面どおりに受けとっていいと思う。
40歳代男性(建設)
「クールビズで」と言われたらクールビスで行ったほうがよいかも。背広で行くと、「コイツ、他社を第一志望にしているのかな」と誠意を疑わそうな気がする。「気楽な格好で」というときは、背広にしておこうね。
70歳代以上女性
とかく日本人は言葉を100%受け止めないこと
70歳代以上男性(コンサル・会計・法律関連)
どんな服を着てくるか常識テストの一つでしょう。
40歳代男性(その他)
自分自身が会社組織内にあるとして、いわゆるクールビズで重要会議や取引先訪問を行なってよいか、と同様の判断をすればよい。どうでもいいが、こんな「ひっかけ」をする会社の器量を疑う。
70歳代以上男性
 ファッションは自分の生き様の選択と、他人が思うことへの配慮。迎合で生きるのか、自己主張で生きるのか。人生の選択だろう。基本的に自己主張だ。
30歳代男性(電気、電子機器)
指定されたドレスコードで訪問するのがマナーだと思います。
60歳代男性
額面通り受け取って、だめだと言うような企業に未来はないと考えた方が間違いない。
20歳代以下男性
会社からの指示だから、従うべきだと思います。
50歳代男性(不動産)
外交辞令、従来のスタイルで訪問すべし。
50歳代男性(建設)
会社の方針と、面接者担当者個人の感情は異なる。
50歳代男性(情報処理、SI、ソフトウェア)
学生相手に、額面どおりに受け取れないことをいう企業が間違っている。
60歳代男性(卸売・小売業・商社など)
そもそも全員が就活モードで面接に臨む方が異常。失礼のない服装なら好きな格好で臨むべし。企業も就活服の学生は取らないようにしてはいかが。
40歳代男性(その他製造)
"受け取っていいと思います。むしろみんな同じ容姿で来てもらいたくない。何の個性も感じられない。今の日本の悪い部分だと私は感じる、なんでも皆と同じ。個性を出せ、出る杭になれ "
50歳代男性(運輸)
何事もTPOが不可欠。最低でも襟付きシャツ着用、ジャケットは手に持ってくるくらいの礼儀は要る。
60歳代男性(自動車、輸送機器)
官公庁では良い。民間は難しいですね
30歳代女性(金融・証券・保険)
良識のあるクールビズであれば。

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