2019年9月22日(日)

「とりあえずIoT」は思考の怠惰 本質は人間の理解
みらいのトビラ(4)

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2015/4/16 6:30
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日経テクノロジーオンライン
 自分の専門性という基盤を生かして、異分野の人々と同じ土俵で対話する自信があるか。そう問われたときに、胸を張って「ある」と答えられる読者はどれくらいいるだろうか。自信を持つためのカギは、さまざまなモノやコトに興味を持つ「好奇心」にある。今後10年超にわたるICT(情報通信技術)やエレクトロニクス業界の長期トレンドを予測したレポート『メガトレンド2015-2024 ICT・エレクトロニクス編』(日経BP社)の著者である川口盛之助氏と山本一郎氏が、これから拡大する市場や、企業・技術者の在り方を語り合う対談の第4回。今回は、流行の「IoT(Internet of Things)」の本質を議論する。センサーや通信ネットーワーク、クラウド環境のような要素技術はもちろん大切だが、実はその本質は「人間の理解」にある。とりあえず、標語としてIoTを掲げる開発プロジェクトがいかに多いことか。

――「IoT」という言葉が流行していますが、定義がすごく多様でなかなかとらえどころがありません。どのあたりの分野が儲かりそうなんでしょうか。

山本 IoTという言葉自体は過渡的なものだと思うんです。極論すれば、技術的な革新がもたらす、これから起こるであろう社会変容、変革を総称したものです。それこそ「Web2.0」や「ビッグデータ」と同じような印象で、できることをかなり包含した、キーワード的なものです。IoT単体がすごいとか、有望なIoT系ベンチャーに投資と言われても、「何がIoTやねん」という感じです。

では、何がIoTに帰着するかと言えば、例えば「自動運転」だったり、その自動運転を実現するインフラだったり、具体的なアプリケーションやプロダクトに落とし込まれていくわけですけど、現状では「とりあえず何でもIoTと言っておけ」というイメージになってしまっています。

そうではなく、無線での大容量通信や大規模データの運用といった技術革新を多いに活用して、何を重視すれば安全な社会にとって脅威にならないかというソフトウエアの問題や、人工知能(AI)の話に分化していくわけです。これから、全体の構造の最も重要なところを握るための企業間の"戦争"が起きるでしょうね。

投資家/ブロガー/経済ジャーナリストの山本一郎氏(左)、盛之助 代表取締役社長の川口盛之助氏(右)(写真:加藤康)

投資家/ブロガー/経済ジャーナリストの山本一郎氏(左)、盛之助 代表取締役社長の川口盛之助氏(右)(写真:加藤康)

山本 まだ全然固まっていない分野ではあるけれど、情報をたくさん扱える会社が頭一つ出たように見えるところはあります。例えば交通インフラであれば、「どういう形にしたときに渋滞が起きないか」「事故を減らすにはどうしたらいいか」といったアルゴリズム的な部分の実装が本格化すると、「大枠の処理自体は無線通信を使って統合されたコンピューターで演算するから、ローカルの端末は枯れた技術の実装だけでいい」という話になりやすくなります。

端末自体の技術進化は相対的に低迷することも考えられるぶん、エレクトロニクスをすっ飛ばした大競争になると思います。ここのところで儲かるように頑張らなければなりません。

そういう細かい部分を全体としてパッケージにして統合する、例えば「誰が道路の情報を規定するか」「クルマの流れをどう制御するのか」といった大掛かりなシステムでは、何兆円、何十兆円という市場規模になる、というところまではIoT関連のサービスやプロダクトの方向性として確実に言えると思います。ただ、「じゃあ、そのIoTがすごいんだね」と言われても、「それはただの概念ですし…」という話になってしまいます。

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