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夢しぼむ「稼ぐマイホーム」 太陽光の売電住宅

買い取り価格、7月にも再値下げ

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で4月から、太陽光の価格が前年度比で約1割引き下げられた。7月にも再値下げが待ち受ける。世界最高水準の価格が引き起こした「太陽光バブル」から状況は一変。太陽光の電力を電力会社に売る"稼ぐマイホーム"も夢物語になった。太陽光ビジネスの次のトレンドはどこにいくのか――。

買い取り価格、3年間で3割の低下

かつては1000万円の売電収入も見込んだが…(ミサワホームの売れ筋商品)

家電量販店の太陽光パネル売り場に、異変が起きている。これまでは売電による副収入を目的に、発電量が多い大型パネルが人気だったが、価格の低下でうまみが低下した。太陽光に力を入れる家電量販のエディオンでは「家庭内消費できる分だけの、小型パネルを買い求める顧客が増えている」という。

太陽光が生み出す副収入は「第2の年金」などと呼ばれてきた。戸建て用の売れ筋(発電能力10キロワット)の場合、買い取り制度が始まった2012年度当初は「20年間で1000万円の売電収入も!」(ミサワホーム)とうたう住宅が続出した。日当たりの良い地域では、住宅ローンを売電収入で実質的に相殺する「ローン0(ゼロ)住宅」も人気を博してきた。

こうした"稼ぐマイホーム"の夢は、買い取り価格の引き下げでしぼみつつある。売れ筋だった発電能力10キロワットの電力買い取り単価は12年度の1キロワット時税抜き40円から、15年度は同29円、さらに7月には同27円への引き下げが予定される。3年間で3割の低下だ。1000万円の収入を見込んでいた場合は、300万円の収入減になる。

今後は、強制的に発電量を抑える仕組みも導入され、売電収入の見通しは立ちにくくなる。天候で発電量が左右される太陽光が大量に増えることで、電力網の安定性に与える悪影響を回避するための措置だ。住宅大手は「(売電住宅への)熱が収まりつつある」(ミサワホーム)と指摘する。

売電から自給自足型の住宅へ

では次のトレンドはどうなるのか。住宅、家電各社が「売電住宅」の次に狙うのが、「ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH、ゼッチ)」だ。ZEHとは、創エネ、蓄エネ、省エネ、エネルギー管理などを組み合わせ、年間のエネルギー消費量を差し引きでおおむねゼロにする住宅のこと。地球に優しく、電気代もゼロという利点が生まれる。政府は20年までに、標準的な新築住宅でZEHを実現する目標を立てている。

パナホームは1日、同社の戸建て住宅に採用する新たなZEHプラン「ゼロエコ」の取り扱いを始めた。太陽光発電、蓄電池、断熱材、換気システムを駆使。家庭用エネルギー管理システム(HEMS)で部屋ごとのエネルギー消費を効率的にする。省エネ効果や売電収入などを合わせ、年間の光熱費収支は多いケースで約35万5000円のプラスになるという。

タマホームはONEエネルギー(東京・港)と組み、新築戸建ての顧客向けに太陽光パネルと蓄電池のリース・レンタルを今年から始めた。顧客の初期費用を抑え、自給自足の生活スタイルを普及させる狙いだ。15年の契約期間後は、太陽光パネルを顧客に無償で譲渡する。

一般消費者の関心も高い。積水ハウスは約2年前に発売したZEH商品「グリーンファーストゼロ」の受注棟数が累計で1万1600戸を超えた。受注に占める同商品の割合を15年1月期の約6割から17年1月期に7割に増やす。「セキスイハイム」を展開する積水化学工業は、家庭用蓄電池の代わりに電気自動車(EV)を利用するZEH対応商品を投入している。

「業界全体で買い取り制度を使った売電から自給自足への流れができつつある」(積水化学工業)。太陽光バブルの次は、自給自足型の住宅の普及が進みそうだ。

(弟子丸幸子)

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