ムーアの法則 考案者が語った長期継続の理由と未来
未来を創った男たち(1)

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2015/4/8 6:30
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■半導体産業を退屈と思ったことはない

――エンジニアとして一生をやり直すとすれば、また半導体産業に関わりたいと思いますか。

ムーア そう思います。半導体産業は社会のほぼすべての面に革命をもたらした産業であり、従って極めてエキサイティングでした。あまり何も知られていなかった、ごく初期の段階で参加したことは非常に幸運だったと思います。私は大学で半導体ではなく化学を専攻したのですが、それでもその当時に存在した技術を短期間のうちに身に付けることができました。私はたまたま良い時に、良い場所にいたのだと思います。

この業界を退屈だと思ったことはありません。退屈するには動きが速すぎます。技術の進化に伴って、製品の機能も変わり続けています。これは素晴らしい業界でした。今までのこの期間において、これ以上エキサイティングだった分野を想像することは困難です。

――半導体産業以外で、今興味を持っているのはどの分野ですか。

ムーア 小さな医薬品会社の取締役を務めています。成長を続けているため、もはやそれほど小さくはありませんが。取締役になったのは何年か前です。この会社は新薬に関するいくつかのアイデアを基にスタートしましたが、今ではHIV(ヒト免疫不全ウイルス)やC型肝炎用の医薬品の主要生産者の一つになっています。

これは(半導体産業とは)まったく異なった業界です。エレクトロニクス産業とは特徴がまったく異なります。そのコントラストが面白く、取締役としてわずかながら貢献したいと思っています。バイオテクノロジー産業は当分の間、非常に面白いと思います。この分野で行われている研究開発は、さらに多くのテクノロジーの発達を促すものです。許認可の取得などには長い時間がかかりますが、この分野も将来の人々の生活には大きな影響を持っていると思います。

――最新のテクノロジーを学ぶことは続けていますか。

ムーア それほど熱心とは言えません。どのようなことが行われているかは見ています。Intelに関しては主に取締役会に出ることによって、バイオ・医薬品産業については前述の小さな企業を通じて見ています。しかし、広い範囲のテクノロジーを追うことは不可能です。追いかけるために時間を費やすには範囲が広すぎます。

――最新情報を得るために多くの本を読んでいますか。

ムーア かなりの量を読んでいます。最新テクノロジーに関するものよりも、基礎科学的な書籍を手にする傾向があるように思います。科学全般の出来事に興味を失ったことはありませんが、生物科学のペースには付いていけていません。生物科学では何についても独特の用語が使用されており、広く追いかけることは不可能です。

――今読んでいる本のタイトルは何ですか。

ムーア 量子力学に関する「Entanglements」という本を読み終えたばかりです。今は資源保護に関する「In a Perfect Ocean」という本を読んでいるところです。Jared Diamondの新著「Collapse」も読みましたが、これはいくつかの文明の歴史に関するものです。最近読んだのはこんなところです。

――興味の範囲が非常に広いですね。

ムーア そのようです。興味の範囲が広くて困るのは、何についても深く踏み込めないことです。両方を行う時間はありません。

――次の質問でインタビューを終えたいと思います。日経エレクトロニクスはエンジニアを対象とする雑誌です。半導体やその他の分野のエンジニアを勇気づけるようなメッセージを頂ければと思います。

ムーア 私のメッセージは、テクノロジーにはまだまだ将来があるということです。社会への応用はますます進み、重要な影響を及ぼすようになります。社会にとって重要な結果を生む、技術的にやりがいのある面白い分野です。もし関心があるなら、キャリアを築くには素晴らしい場になると思います。

[日経テクノロジーオンライン2015年3月9日付の記事を基に再構成]

[参考]「ムーアの法則」が発表後50年を迎える2015年、日経エレクトロニクスは4月号で「さらばムーアの法則」と題した特集記事を掲載した。ムーアの法則を支えてきた半導体の微細化が限界に達するなか、「ポスト・ムーア時代」を支える新技術や半導体の使い手である機器メーカーなどに与える影響をまとめた。詳細は、http://techon.nikkeibp.co.jp/article/MAG/20150306/407701/
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