ムーアの法則 考案者が語った長期継続の理由と未来
未来を創った男たち(1)

(2/4ページ)
2015/4/8 6:30
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■常に2~3世代先の技術は予想することができた

――その性格は半導体技術に独特のものだと考えますか。

ムーア そう思います。現在では磁気ディスクにも同様のことが言えるかもしれません。磁気ディスクの(記録)密度は大変な速さで向上してきています。しかしこのような性格を備えた技術は、他にはほとんど見当たりません。

――ムーアの法則の記事を書かれた時には、その独特の性格を念頭に置いていましたか。

インテル創業直後に工場を視察するムーア氏(左から2人目)

インテル創業直後に工場を視察するムーア氏(左から2人目)

ムーア 一般的な傾向としては認識していました。もちろん、当時の人々があまりよく分かっていなかったのは、集積回路によってエレクトロニクス製品が相対的に安価になるだろうということでした。それまでの用途の大半は、コストがほとんど問題にならない軍事向けでした。依頼された記事で伝えようとしたことは、集積回路がより複雑になるのに伴い、エレクトロニクス製品のコストは大きく低下するだろうということでした。

――当時の読者の反応を覚えていますか。

ムーア 反応があったかどうかは、まったく覚えていません。Electronics誌は業界の出版物の1つですが、図書館に備えられるような雑誌ではないため、当時なんらかの反応があったとは思いません。この記事に何か普通ではない内容が含まれていると認識されたのは、人々がそれを振り返ってみてからのことでした。

――法則に関して自信を得たのはいつでしたか。

ムーア 記事の出版後に業界を観察していましたが、当初予想した方向に沿って物事が展開しているのが見えました。それに基づき、私自身もこの予想を大きく進めることができました。私は常に2~3世代先の技術については予想することができ、それらはこのトレンド上にあると言うことができました。しかし、40年にわたってこの方向性が維持されるとは予想しませんでした。

――次に、半導体の未来について伺います。ムーアの法則を今後10年にわたり維持するには何が必要だと考えますか。

ムーア より機能が高くコストの低いエレクトロニクス製品を実現するであろう人々が存在することは、明らかです。これは、業界がこれまで大きな成功を収めてきた方向性が維持されることを意味します。具体的には、物理学的な法則が許す限り微細化が進められるということです。これは少なくとも今後2世代にわたって続くでしょう。

エレクトロニクスの分野では、他の分野からの技術が応用されてきているため、予想するのはより難しくなってきました。残念ながら、もはや業界を密に観察しているわけではないので、重要になる可能性を持つ、どういった新しい技術が導入されているかについては分かりません。

――今後2世代というのは、具体的にはどのような技術ノードを意味しているのですか。

ムーア 0.03μm(30nm)程度です。この程度なら十分、安全に予想できます。これ以上についても技術者が方法を見いだすでしょう。10nmのノードにまで進むかもしれません。

――有機半導体についてはどう思われますか。

ムーア どのような問題を解決しようとしているのかが分かりません。複雑なSi(シリコン)回路と競争しているのでないことは明らかです。チップ上に多数搭載した場合にはトランジスタは非常に安価であり、したがって(有機半導体に)コスト面での利点はありません。ディスプレーなどの用途があるかもしれませんが、有機半導体についても密に観察しているわけではないのでよく分かりません。(有機半導体について)興味を持っている人々は、それによってどのような問題を解決しようとしているのかを明確にすべきです。

――有機半導体は次の大きなトレンドや大産業に成長すると思いますか。

ムーア 知識に基づいて判断できるほど、業界に身を置いていません。有機半導体について詳細に検討したのは10年以上も前ですが、この間に大きな進歩があったとは承知しています。

――それでもディスプレーなどの用途は有機半導体に適していると考えていますか。

ムーア そのような用途になると思いますが、それも明確ではありません。ただし、デジタルエレクトロニクスの主流であるマイクロプロセッサーやシステムLSI(大規模集積回路)、メモリーなどが、有機半導体の用途としてふさわしくないということには確信が持てます。

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