ムーアの法則 考案者が語った長期継続の理由と未来
未来を創った男たち(1)

(1/4ページ)
2015/4/8 6:30
保存
共有
印刷
その他
日経テクノロジーオンライン
 我々の日常生活からビジネスの在り方まで、劇的に変えてしまったインターネットの本格普及から20年。米国防総省の高等研究計画局(現DARPA)が世界初のパケット通信ネットワークとして運用を開始したインターネットは、現在では世界で約30億人が利用するインフラになった。この普及の裏には、数々の画期的なテクノロジーの開発がある。そこで主導的な役割を果たしたキーパーソンの言葉は、今振り返っても示唆に富み、未来を予見させるものがある。日経電子版創刊5周年企画「『ネット20年』その先へ:未来を創った男たち」の前半では、半導体の「ムーアの法則」で知られる米インテル共同創業者のゴードン・ムーア氏、約8割のスマートフォンに搭載されているOS「Android(アンドロイド)」を生んだ元・米グーグルのアンディ・ルービン氏のインタビュー記事を紹介する。そして後半では、「スマートフォンの原型」ともいえるサービスを世界で初めて開始した、NTTドコモ「iモード」開発に携わった技術者の奮闘物語を掲載する。

2005年。「ムーアの法則40年」に当たるこの年の4月、日経エレクトロニクス誌はゴードン・ムーア氏にインタビューする機会を得た。これまで秘蔵してきた内容を改めて紹介する。今からちょうど10年前、当時76歳だった同氏は「ムーアの法則」について、40年の継続でさえ想定外だったと語った。聞き手は、元同誌記者の枝洋樹氏。

――この40年間の半導体産業において、ムーアの法則はどのような役割を果たしたと考えますか。

インテル共同創業者のゴードン・ムーア氏(2005年5月)

インテル共同創業者のゴードン・ムーア氏(2005年5月)

ムーア 過去30年間については、(半導体の集積度は)2年ごとに2倍になると予想してきましたが、実際にはそれを少し上回りました。これは私にも驚きでした。このトレンドを維持することは非常に難しいと考えていましたが、業界はこれを少し上回るだけの努力をしたということでしょう。

――半導体技術の進化のスピードには、自分でも驚かれたということですか。最初にこの法則を発見した時は、どの程度の期間にわたって成立すると考えていましたか。

ムーア 当初の予測は10年間についてのみ行ったもので、それでも非常に野心的なつもりでした。当時はIC(集積回路)が登場して3年たったばかりで、参考にすべき歴史というほどのものもなかったからです。結果として、私が思っていたよりもはるかに正確な予想をしたことになりました。

――当初、期間を10年としたのはなぜですか。

ムーア 米Electronics誌から10年間を予想するように依頼されたからです。依頼の内容はその時点から10年間に、テクノロジーの世界で何が起こるかを知りたいというものでした。しかし半導体産業のような動きの速い業界では、10年先というのは予想の対象となり得る限界だと私は思います。当時は10年でも非常に大胆だと思いました。

1965年4月19日付の米技術誌「Electronics」に掲載された論文中の「ムーアの法則」を示す図。1965年までのトレンドに基づき、1975年までに1チップに集積可能となる電子部品の数を予測している(写真:Intel)

1965年4月19日付の米技術誌「Electronics」に掲載された論文中の「ムーアの法則」を示す図。1965年までのトレンドに基づき、1975年までに1チップに集積可能となる電子部品の数を予測している(写真:Intel)

――業界が過去40年にわたってムーアの法則に従うことができたのは、何がカギになったと考えますか。

ムーア 莫大な投資が行われてきたことだと思いますが、もう1つ挙げるとすれば、「物を小さくすればするほどその質も良くなる」という、半導体技術に独特の性格もあると思います。

トランジスタでは速度が向上します。より多くのものを単一のチップに詰め込むことができれば、システムとしての信頼性が向上し、同時にコストが下ります。新しい技術へ移行するにあたって大きな犠牲を払わなくても良いという事例は、この分野の他にはほとんど思いつきません。

半導体産業ではすべてのものが同時に改善されます。これが他には見られない独特の性格であり、40年にわたってトレンドを維持することができた理由だと思います。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

日経BPの関連記事

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]