2018年11月18日(日)

スポーツ・仕事・生活…科学的トレーニングで強い心
東海大学体育学部教授 高妻容一

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2015/4/2 7:00
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「メンタルトレーニング」という言葉をご存じでしょうか。スポーツ界で世界的に実践されている、心技体の「心」の部分を強化、準備、トレーニングする方法です。スポーツを過去に経験した方、または現在やっている方は、技術面や体力面のトレーニングは毎日の練習で積極的に取り組んでいると思います。しかし、心理・メンタル面のトレーニング(強化、準備)をやった経験はあるでしょうか。たしかに、過去において精神主義、スパルタ主義といわれる根性論を経験した方は多いと思います。それらは本当に効果的だったのでしょうか。

高妻容一氏

高妻容一氏

追い込まれた環境でポジティブに

根性という言葉を辞書で調べると「その人の根本的な性質、しょうね」などとともに、「困難にもくじけない強い性質」という意味があります。スポーツで使う場合は、「強い精神力」というニュアンスで使われるようです。そしてスポーツ選手は、強い精神力があると上達し、試合の苦しい場面でも逆境を乗り越えることができる、つまり実力発揮につながると考えます。

私は、スポーツ現場の選手やコーチに説明するときに、「根性は必要ですよね?」、つまり「強い精神力は必要ですよね?」、それでは「どのようにして強い精神力を身につけるのですか?」と聞くことにしています。そうすると多くの人が、追い込んだきつい練習をすれば精神力は強くなる、という回答をするのです。しかし、追い込まれた練習をして、全ての人の精神力が強くなるとは考えられません。

そこで調査をしてみると、追い込まれる環境で「何クソ」「よーし、やったろー」「監督は、なにか意図があって追い込んでいるはずだ」などとポジティブ(プラス思考)な選手は、上達していました。一方、「なんで?」「意味わかんない」「やらないといけないの?」などとネガティブ(マイナス思考)な選手は、ますます根性がなくなる(精神力が弱くなる)ことがわかってきました。つまり、追い込むトレーニングに効果があるのではなく、追い込まれた選手がポジティブに考えることで精神力は強くなった、根性がついたと考えられるのです。

五輪のメダルを目的に研究・実践

これを仕事や学校の勉強に置き換えてみると、厳しいビジネスの世界では追い込まれることは多々あるはずですし、受験生は勉強をするという環境で追い込まれることもあるでしょう。音楽や芸能関係でも、みなさんの趣味や熱中していることでも同じことがあるはずです。こんな追い込まれるような場面(逆境、ピンチ)において、あなたはポジティブとネガティブのどちらを選択しますか?

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